2022/09/05
失った歯を補うための治療はさまざまなものがありますが、独立した治療が可能なインプラント治療はたくさんのメリットが得られます。審美性にも優れているため、第一候補として検討している方も多いでしょう。
しかし、インプラント治療は手術が必要な治療であり、構造が気になる方もいるのではないでしょうか。また、インプラントメーカーなど「種類にもこだわりたい」と考えている方もいるでしょう。
そこで今回は、インプラントの種類と構造をわかりやすく解説します。人工歯に使われるセラミック・ジルコニアなどの素材についても解説するので、インプラント治療を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
インプラント治療は、歯を支えている骨のなかに人工歯根となるインプラント体を埋入し、その上に人工歯を取り付ける治療方法です。治療方法によって異なりますが、以下の3つのパーツに分けられます。
では、インプラントの構造についてくわしく解説します。
歯科におけるインプラント治療で「インプラント」もしくは「インプラント体」と呼ばれる部分は、骨のなかに埋め込むネジのような形をした人工歯根の部分を指します。独立した治療を可能にするために歯の根っこの代わりとなり、インプラント治療の土台となる重要な役割をしています。体内に直接埋め込むため、アレルギー反応が少なく腐食しにくいチタン製のものが主流です。
アバットメントとは、インプラント体と人工歯を結合させるための器具です。骨のなかに埋め込んだインプラント体と接続し、歯茎から露出させる状態で取り付けます。一人ひとりの歯茎の厚みやインプラント体の角度などを考慮して最適なものを取り付け、噛み合わせが悪くならないように工夫されています。アバットメントは、インプラント体と一体型のものもあり、症例によって使い分けも可能です。
上部構造とは、失った歯の代わりとなる人工歯を指します。歯茎から露出させたアバットメントへ装着し、実際に食べ物を咀嚼する役割を持ちます。使用する素材は、審美面や強度に優れているセラミック・ジルコニアなどが主流で、保険診療で作成する入れ歯やブリッジのように金属が目立ってしまうことはありません。
インプラントは、一回法と二回法の2種類に分けられます。一回法では、インプラント体を埋入する際に高さのあるヒーリングキャップを取り付けるため、アバットメントを取り付けるための二次手術を受ける必要がありません。手術の回数が少ないため負担が少なく、治療期間も短縮できるメリットがあります。ただし、骨の厚みや量が十分ではない一回法が適用できないケースもあり、すべての症例に適用できる治療法ではありません。
一方の二回法は、インプラント体とアバットメントが分離しているため、インプラント体埋入手術(一次手術)を受けたあとに、アバットメントを取り付ける手術(二次手術)を受ける必要があります。インプラント体を埋入してから治癒期間を設けるため、骨とインプラント体がしっかり結合するのが二回法のメリットです。ただし、2回に渡って手術を行うため負担が大きいことや、インプラントとアバットメントの結合部分が緩くなる可能性があることが注意点として挙げられます。
骨に埋め込むインプラントメーカーは、世界に数百社あるといわれています。自分で好きなように選ぶことはできませんが、適切で信頼のあるメーカーのインプラントを使用することで、正しく機能するインプラント治療となるでしょう。なかでも代表的なのは、以下の4社です。
これらは世界的に大きなシェアを持つ代表的なインプラントで、世界中のインプラントドクターから信頼を得ています。いずれのメーカーも10年以上の臨床実績があり、科学的根拠に裏付けられた品質・安全性の高い製品を提供していることが、医師からの信頼へつながっています。
インプラントの上部構造にはさまざまな種類があり、予算や部位にあわせた素材を選べます。基本的にセラミックがベースのものが多いため、金属アレルギーがある方でも心配が少ないでしょう。代表的なものは以下の3種類です。
では、それぞれの素材についてくわしく解説します。
すべてセラミックでできている審美性に優れた素材です。劣化による変色の心配がないため、長期的に美しい状態を保てます。ただし、強く噛み合う部分では欠けたり破損したりするリスクがあり、噛み合わせが強い方には不向きでしょう。
ジルコニアは耐久性・審美性に大変優れており、適用できる部位が多いことが特徴です。歯ぎしりや食いしばりが強い方の奥歯にも使用でき、割れる心配はほとんどありません。審美性にも優れているので前歯にも適用され、汎用性に優れた素材といえるでしょう。
ハイブリッドセラミックは、歯科用プラスチックとセラミックをあわせた素材です。保険適用のプラスチックに比べて強度は増しているものの、セラミックやジルコニアに比べるとやや劣ります。また、劣化すると変色する点でも、他の素材より劣る部分が多いといえますが、安価で作成できることがメリットとして挙げられます。
オールオン4とは、インプラント治療法の一つで、多くの歯を失った方向けのその日から軽い食事ができる治療方法です。片顎最小4本のインプラントですべての人工歯を支える治療法で、インプラントの埋め込みから歯の装着まで1日で完了します。
ただし、非常に高い技術が求められる治療であり、適用できるケースが少ないというデメリットも挙げられます。適用できる症例かどうか、医師とよく相談して治療を受けるようにしましょう。また、どの医院でも対応している治療法ではないため、検討している方は事前に確認しておくとスムーズに進みます。
インプラント治療の種類や構造について解説しました。独立した治療が可能なため、残っている健康な歯を守れるインプラント治療は、さまざまなメリットが得られるといえるでしょう。ただし、治療を受ける際には自分の症例に合った適切な方法で、質のよい治療を受けるようにしましょう。安易に選んでしまうと、すぐに脱落したり感染症を引き起こしたりと、失敗してしまう可能性もあります。
山手歯科クリニックでインプラント治療を担当している医師は、ICOI国際インプラント学会指導医である理事長です。東京都内ではわずか2%の厚生労働省に認可された設備が整っている医院であり、セカンドオピニオンや丁寧なカウンセリングを行った後、一人ひとりに最適な治療を提供しています。インプラント治療を検討している方、医院選びでお悩みの方は、山手歯科クリニックへお気軽にご相談くださいませ。
監修:理事長/齋藤和重
2022/09/05
インプラント治療は一度で終わる治療ではありません。複数回に渡る処置が必要なため、治療期間も数ヶ月~1年ほどかかる大きな歯科治療です。
そんなインプラント治療の流れや治療期間、費用が気になる方が多いのではないでしょうか。よくわからないまま治療を受けてしまうと、のちにトラブルに発展してしまう可能性もあります。
そこで今回は、インプラント治療の流れ、それぞれの手順でかかる費用や期間についてくわしく解説します。インプラント治療を検討している方はぜひ参考にしてください。
インプラント治療は一度で終わる治療ではないため、スケジュールをよく把握した上で治療に臨む必要があります。大事な予定などがある場合は、医師とよく相談しながらタイミングを決定するようにしましょう。
インプラント治療の流れは、以下のとおりです。
では、それぞれの項目をくわしく解説します。症例や口腔内の状況によって必要な処置が変わってくるため、最終的な確認は治療を受ける医院でするようにしましょう。
インプラント治療を開始するにあたり、口腔内の状態を確認するため精密検査を行います。検査は石こう模型採取やCT撮影、口腔内写真、歯周基本検査などが主な内容です。
検査結果をもとに一人ひとりに合ったプランを作成し、手術内容や治療期間、費用に関するくわしい説明を受けます。インプラント治療に関する疑問や不安は、治療開始前に必ず解消しておくようにしましょう。
さまざまなメーカーのなかから選択した、適切なインプラントを埋入するための一次手術を行います。手術は埋入本数や骨の状態によって異なりますが、1本だいたい1時間前後で終了します。また、手術中は局所麻酔を行うため、痛みはほとんどありません。心配な方は笑気麻酔や静脈麻酔を併用すると安心でしょう。
一次手術ではインプラント体を埋入し、切開した歯茎を縫合します。個人差がありますが、インプラント体と骨がしっかりと結合するまで2~6ヶ月ほど待機します。
インプラント体と骨の結合が確認されたら、人工歯の土台となるアバットメントを取り付ける二次手術を行います。だいたい30分前後で終了します。一次手術と同じく局所麻酔が効いている状態で行われるため、痛みはほとんどありません。一時手術のように笑気麻酔などは必要ないでしょう。
二次手術はアバットメントを歯茎から露出させた状態で終了します。歯茎が落ち着いてきたころに、セラミックなどで作成した人工歯を取り付けて、インプラント治療は完了です。
インプラント治療は、治療後の正しいホームケアと、歯科医院での定期的なメンテナンスを行うことで長期的に良好な状態で機能します。セルフケアやメンテナンスを怠ってしまうと、骨を溶かしてしまうインプラント歯周炎に感染することがあり、インプラントの寿命を縮めてしまいます。
きちんと機能する状態で長く使い続けるためには、自宅での丁寧なブラッシングを行い、歯科医院で3~6ヶ月に一度のペースでプロフェッショナルケアを受けるようにしましょう。
インプラント治療には、1回法と2回法の2種類があります。上記で紹介したインプラント治療の流れは2回法で、ほとんどの症例に適用できるインプラント治療法です。
ここでは、インプラント手術の1回法と2回法の違いについて解説します。
2回法のインプラント手術は、ほとんどの症例に適応できる方法です。インプラント体(人工歯根)とアバットメントが分離しているタイプを使用します。歯茎を切開して骨のなかにインプラント体を埋入し、切開した歯茎を一度縫合して骨とインプラント体がしっかり結合するのを待ちます。
結合が確認できたら、再び歯茎を切開して人工歯の土台となるアバットメントを取り付ける手術を行います。このように、2回に分けてインプラント手術を行うのが2回法です。
歯茎を閉じてしっかりと治癒期間を設けるため、インプラントの脱落リスクが低いことが大きなメリットでしょう。ただし、2回に分けて歯茎を切開する手術を行うため負担が大きく、治療期間が長くなることが注意点として挙げられます。
1回法のインプラント手術は、文字通り1回の手術で完了する治療法です。インプラントの埋入時に、高さのあるヒーリングキャップを取り付けるため、アバットメントを取り付けるための二次手術を受ける必要がありません。
一度の手術で済むため負担が少なく、1回法に比べて治療期間も短いことがメリットです。ただし、インプラント体を埋め込む骨が十分にあることが条件となり、誰でも受けられる治療ではないことが注意点として挙げられます。
インプラント治療にかかる期間は、骨の状態や治療方法によって異なりますが、数ヶ月~1年ほどです。インプラント体と骨の結合に2~6ヶ月ほど期間があり、そのあとは歯茎の状態を観察しながら人工歯を作成します。口腔内が良好であればだいたい1ヶ月程度で歯茎の状態が落ち着く方もいますが、症例によっては数ヶ月ほど時間がかかることもあるでしょう。
なお、インプラント自体の寿命は10年ほどといわれています。丁寧なホームケアと歯科医院でのプロフェッショナルケアをきちんと受けていれば、さらに長持ちすることもあるでしょう。大きな治療費と長い期間をかけて受ける治療のため、できるだけ長持ちするように日ごろから意識することが大切です。
インプラント治療にかかる費用は、30~60万ほどです。インプラント手術の準備や検査に3万円ほど、インプラント手術に25万円ほどかかります。人工歯は使用する素材によって15~25万円ほどと、費用に大きな差がでるでしょう。
また、骨の厚みや量が十分ではない場合は、増骨手術を行う必要があります。その場合は、治療法によって異なりますが5~50万円ほどの追加費用があるため、治療の前に費用の内訳などをしっかり確認しておくようにしましょう。
インプラント治療について解説しました。インプラント治療は、失った歯を補うための歯科治療として、機能的にも審美的にも大変優れています。しかし、劣悪な環境で治療を行ったり、経験の浅い医師のもとで治療を受けたりすると、失敗や感染症を起こしてしまうリスクがともないます。治療を受ける際は自分に合った方法を選択し、実績の豊富な医師へ任せるようにしましょう。
山手歯科クリニックでインプラント治療を担当している医師は、ICOI国際インプラント学会指導医である理事長です。東京都内ではわずか2%の厚生労働省に認可された設備が整っている医院であり、セカンドオピニオンや丁寧なカウンセリングを行ったあと、一人ひとりに最適な治療を提供しています。インプラント治療を検討している方、医院選びでお悩みの方は、山手歯科クリニックへお気軽にご相談くださいませ。
監修:理事長/齋藤和重
2022/09/05
失った歯を補うための治療法として、機能的・審美的に優れているインプラント治療は、入れ歯やブリッジのように大きく目立つことはありません。見た目の問題が少ないことから、インプラント治療を第一候補として検討している方も多いでしょう。
しかし、インプラント手術中の痛みや術後の傷口など、経過が気になり治療に踏み込めない方もいるのではないでしょうか。あまりにもダウンタイムが長いようでは、日常生活に支障をきたしてしまいますよね。
そこで今回は、インプラント治療の痛みについて解説します。手術中・手術後に分けて解説するので、インプラント治療を検討している方はぜひ参考にしてください。
インプラント治療は、歯茎を切開して骨のなかにインプラント体を埋め込む手術が必要な治療です。治療中は麻酔が効いているため痛みを感じることはほとんどありませんが、傷口が落ち着くまで多少の痛みを感じるケースもあるでしょう。
また、痛みの感じ方は個人差によるものが大きいため、まったく痛みがなかったと感じる方もいれば、強い痛みを覚えたと感じる方もいます。術後の過ごし方によっては痛みがでてしまうケースも考えられます。どうしても心配であれば、治療を受ける医院で事前によく相談しておきましょう。
インプラント治療では、インプラント手術中に感じる痛みと、手術後に感じる痛みがあります。それぞれ耐え難いほどの痛みを感じることはまれですが、痛みに敏感な方は事前に心構えをしておく必要があるでしょう。
ここでは、治療中・治療後に感じる痛みの違いについて解説します。
インプラント手術中は、局所麻酔を行うため基本的に痛みをともなうことはほとんどありません。ただし、麻酔をする際のチクッとする感覚や、麻酔液を注入する際に違和感を覚えるケースがあるかもしれません。麻酔時の痛みを少しでも緩和させるため、表面麻酔をする医院も多いのですが、心配であれば事前に希望しておくとよいでしょう。
また、どうしても手術中の痛みや恐怖・不安を感じる方は、笑気麻酔を併用する方法も有効です。うたた寝をしているときのようなリラックスした状態で施術を受けられます。医院によっては、静脈内鎮静法を準備しているところもあるので、事前に相談しておくと安心でしょう。
インプラント治療では、手術直後に腫れや出血をともなう痛みを感じるケースがあります。ほとんどのケースは一時的なもので、傷口が落ち着くまでの1~2週間ほどで治まるでしょう。痛み止めなどの薬も処方されるため、過剰な心配は必要ありません。
ただし、痛みがひどかったり出血が止まらなかったりする場合は、必ず医師へ相談するようにしましょう。放置してしまうと、感染症を引き起こすこともあるので、注意が必要です。急な痛みやトラブルに備えて、通いやすい距離にある医院を選んでおくと安心でしょう。
インプラント治療中の痛みは医師へ任せるしかありませんが、治療後の痛みは対策を取ることで軽減させられます。これまでと同じように生活を続けていると、痛みの誘発につながるため以下のポイントに気を付けるようにしましょう。
では、それぞれの項目をくわしく解説していきます。どれも難しい内容ではないため、少しだけ意識して痛みがでないよう対策を取りましょう。
インプラント治療直後は、麻酔が1~2時間ほど効いている状態です。麻酔が完全に切れるまでは、唇を噛みやすかったり火傷しても気付かなかったりするので、食事には十分な注意が必要です。
また、医師から指示があるまではインプラント埋入部位で噛まないようにしましょう。いつも通りの食事をしてしまうと、インプラント体と骨がきちんと結合するのを阻害してしまう可能性があります。おかゆや麺類などの柔らかいものから食べるようにし、硬いものがあたらないよう注意しましょう。
インプラント治療に関係なく、たばこは口腔環境に悪影響をおよぼします。たばこに含まれる成分が血管を委縮させるため傷の治りが悪くなるだけでなく、ヤニや歯周病リスクも高くなります。事前に禁煙しておくか、少なくとも術後2週間ほどは喫煙しないように心がけましょう。
また、アルコール摂取は免疫力の低下を招きます。日ごろから過度の飲酒は避け、術後2~3日は控えるようにしましょう。アルコールやたばこは、手術からの回復を遅らせる原因となるため、インプラント治療を検討しているのであれば控えることが大切です。
手術後1~2日ほどは、血流のよくなる行為を避ける必要があります。湯船につかって長風呂をしたり、サウナ・温泉に出向いたりすることは避けるようにしましょう。
また、シャワーの温度にも注意が必要です。熱めのお湯でシャワーを浴びてしまうと血行がよくなるので、普段よりもぬるめの温度に設定するようにしましょう。傷の状態が落ち着けば元の温度に戻しても構いませんが、念のため医師に確認しておくと安心です。
プールやスポーツジム、ジョギングなどの激しい運動も、手術後1週間ほどは控えるようにしましょう。また、術後2~3日はウォーキングなどの軽い運動も控え、仕事や家事も軽めに終わらせられるように調整しておくと安心です。
血流がよくなってしまうと、傷の治りが遅くなったり出血・痛みを誘発したりしてしまいます。仕事や学業で忙しく活動量が多い方は、連休前にインプラント治療を受けるなどの工夫が必要です。医師とよく相談して日程を決めるようにしましょう。
インプラント治療後は、感染症予防のために抗生物質などの薬が処方されるケースがほとんどです。医師から指示された用法・用量を守り、しっかり服用するようにしましょう。自己判断で薬の服用を止めてしまうと、痛みや腫れがでてしまう可能性があるため、最後まで服用することが大切です。
また、他に内服している薬があれば、飲み合わせに問題がないか確認してもらう必要があります。飲み合わせだけでなく、手術にあたり服用を中止する必要な薬もあるため、事前に医師へ伝えておくようにしましょう。
インプラント治療の痛みについて解説しました。インプラント治療は外科的処置がともなうため、どうしても身構えてしまいますが、医師の指示を守って過ごしていれば過度な心配はいりません。手術中も、できるだけ痛みがでないような対応や、リラックスして受けられるような環境作りに配慮している医院が多いです。どうしても心配であれば、事前に医師へ伝えておくと安心でしょう。
山手歯科クリニックでインプラント治療を担当している医師は、ICOI国際インプラント学会指導医である理事長です。セカンドオピニオンや丁寧なカウンセリングを実施し、一人ひとりに最適な治療を提供しています。インプラント治療を検討している方、医院選びでお悩みの方は、山手歯科クリニックへお気軽にご相談くださいませ。
監修:理事長/齋藤和重
2022/08/01
インプラント治療は、失った歯を補うための歯科治療として、入れ歯やブリッジなどと比較して自然な仕上がりになることから人気の高い治療法です。自分で着脱する必要がないため、手間がかからない点も人気の理由のひとつでしょう。
しかし、インプラント治療は入れたら終わりの治療ではなく、長く使い続けるためには医師と協力してメンテナンスを行う必要があります。
今回は、インプラントのメンテナンスについて解説します。歯科医院で行うメンテナンスと、自宅で行うケアについてくわしく解説するので、インプラントを検討している方はぜひ参考にしてください。
インプラント治療を受ける方のなかには、治療が完了すれば通院の必要はないと考えているケースが少なくありません。しかし、インプラントも天然歯と同様に、良好な状態を保つためには定期的なメンテナンスが必要不可欠です。メンテナンスを怠るとインプラントが脱落してしまうケースもあるので、しっかり行いましょう。
また、インプラント治療は、一般的に10年以上の寿命があるといわれていますが、適切なメンテナンスを行うことによって、さらに長持ちさせることも可能です。
インプラントを長く使い続けるためには、医師の指示を守りながら自宅でケアを行い、数ヶ月に一度は歯科医院で状態を確認してもらうことが大切です。
インプラント治療を受けたあと、順調に機能していたとしても、歯科医院で定期的にメンテナンスを受けるようにしましょう。自分では判断できない歯茎や骨の状態、磨き残しがある部分などをチェックすることで、インプラントの寿命を延ばすことにつながります。
歯科医院で行われるインプラントのメンテナンスでは、以下のような項目を中心に行います。
では、メンテナンスの内容について、それぞれくわしく解説していきます。
インプラントを長持ちさせるためには、インプラントを埋入した部分だけでなく、お口全体の状態が良好であることが重要です。残っている歯に虫歯や歯周病があると、インプラントを支えている骨に悪影響をおよぼしてしまう可能性があります。
また、口内全体を清潔な状態に保てるよう、他の噛み合わせの高さに問題はないか、詰め物が劣化していないかなどの確認も行います。
インプラント治療は、人工歯根を顎の骨のなかに埋め込む治療です。そのため、骨の状態や結合に問題がないか確認する必要があります。また、残っている歯もできるだけ長く残すために、歯根の状態を確認することもあります。こうした部分は、肉眼では確認できないため、レントゲンによって検査をしていきます。必要に応じてCT撮影もあるでしょう。
日ごろから丁寧なケアを心がけていても、歯科医院で用いるような専用の器具や薬剤なしでは落としきれない汚れがあります。歯の表面についたバイオフィルムには1兆を超える細菌が付着しており、虫歯や歯周病の原因となります。
付着している部分や磨き残しのある箇所は、歯科医院で取り除くようにしましょう。とくに汚れがたまっている箇所は、日ごろから意識して磨くことが大切です。
どうしても歯ブラシが届きにくい箇所には磨き残しがでてしまいます。汚れが蓄積されて歯石がついてしまうこともあるので、定期的に歯科医院でしっかり除去することが大切です。
歯石は放置してしまうと、歯を支えている顎の骨を溶かしてしまうため、インプラントが脱落してしまう可能性もあります。歯石を作らないようにするのがベストですが、自宅で完璧にケアするのは難しいので、医院へ任せるようにしましょう。
歯科医院での定期的なメンテナンスだけではなく、日ごろから丁寧なブラッシングを心がける必要があります。歯磨きの方法には、一人ひとりのクセがでてしまうため、正しい持ち方や磨き方の指導を受けて、磨き残しの少ない口内環境を保てるようにしましょう。
また、歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシ、デンタルリンスなどの使い方の指導もあります。
歯科医院で医師と連携を取りながらメンテナンスを受けるのも大切ですが、自宅で行うセルフケアを怠っていると、せっかくのメンテナンスも意味のないものになってしまいます。清潔な口内環境を維持するためには、セルフケアを生活習慣のなかに取り入れることが大切です。
自宅で行うインプラントのメンテナンスは、以下のポイントを意識しましょう。
では、それぞれくわしく解説します。難しい内容ではないので、積極的に取り入れていきましょう。
自宅で行うメンテナンスとして、基本となるのは毎日の丁寧なブラッシングです。インプラントの人工歯を傷付けないように柔らかいタイプの歯ブラシを使用し、歯を1本1本丁寧に磨くことを意識します。
歯ブラシをグーの手で持ってしまうと一気にゴシゴシと磨きたくなるので、えんぴつ持ちで小刻みに磨くようにしましょう。磨きにくい奥歯には、タフトブラシを併用すると磨き残しが少なくなります。
歯磨きだけでは落としきれない歯の隙間には、デンタルフロスを活用しましょう。歯間ブラシを使うほど歯に隙間がない方は、デンタルフロスを使用します。
デンタルフロスには、指巻きタイプと取っ手付きタイプがあり、これまでデンタルフロスを使う習慣がなかった人は、取って付きタイプから使用してみるとよいでしょう。歯磨きとセットで行う習慣を付けると、より清潔な口内を保てるようになります。
デンタルリンスとは、マウスウォッシュのような液体歯磨きのことをいいます。マウスウォッシュは口をゆすいで吐き出す洗口液ですが、デンタルリンスは口をゆすいだあとに、軽いブラッシングが必要なため、使い方や目的が少し異なります。
毎日の歯磨きを終え、デンタルリンスで仕上げ磨きを行うことで、有効成分が歯茎の隙間に入り、歯周病を防ぐ効果が期待できるでしょう。
インプラントのメンテナンスについて解説しました。歯科医院で行うメンテナンスと、自宅で行うセルフケアも紹介しましたが、どちらか一方が欠けてしまうと、インプラント周辺に歯石や磨き残しがたまって、細菌感染を引き起こしてしまう可能性が高まります。きちんと機能するインプラントを長く保つためにも、しっかりメンテナンスを続けるようにしましょう。
山手歯科クリニックでは、25年以上の実績と最新の技術で、安全かつ最善のインプラント治療を提供しています。インプラントだけでなく、虫歯や歯周病の治療も行う「総合クリニック」として、患者さまの口内の健康をサポートしているため、インプラント治療を検討している方、メンテナンスについてお悩みがある方は、お気軽に山手歯科クリニックへご相談くださいませ。
監修:理事長/齋藤和重
2022/08/01
失ってしまった部分の歯を補うための治療には、一般的な入れ歯治療の他にもブリッジやインプラント治療があります。見た目や機能性では、インプラント治療が非常に優れているため、検討している方も多いのではないでしょうか。
しかし、インプラント治療は保険が適用されない自由診療です。医院によって費用に差が出てしまうため「インプラント治療の相場がわからない」と感じることもあるでしょう。
今回は、インプラント治療にかかる費用について解説します。ブリッジ・入れ歯との比較や費用を安く抑えるコツもあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
インプラント治療にかかる費用は、1本でだいたい30~60万円です。ただし、インプラント治療前に骨の厚みや量を増やす処置を行う場合は、追加で費用が発生します。骨の状態が良好であれば、増骨手術は必要ありません。
また、使用するインプラントメーカーや、医院の方針、地域によっても費用が異なるでしょう。治療を受ける前に、費用の内訳などをしっかり確認しておくと安心です。
歯科におけるインプラントとは、何らかの理由で歯を失ってしまった部分に、人工歯根(インプラント体)を埋入して土台を作り、その上にセラミックなどで作製した人工歯を取り付ける歯科治療のことです。インプラント治療は、局所麻酔下で歯茎を切開し、顎の骨に穴を開けてインプラント体を埋入する手術が必要です。
そのため、基礎疾患があったり骨の状態が悪かったりすると、インプラント治療を受けられないケースもあります。治療を受ける際は、全身の健康にも配慮して、医師とよく相談してから検討するようにしましょう。
失った歯を補う治療は、インプラントだけではありません。保険が適用される入れ歯やブリッジは、治療期間や費用の面で負担が少ないため、多くの方が選択する治療でしょう。
ここでは、入れ歯やブリッジの治療について解説します。インプラントとの費用も比較もするので、治療方法に迷っている方はぜひ参考にしてください。
入れ歯治療は、プラスチック製の人工歯をワイヤーなどで隣の歯にかけて歯を補う歯科治療です。プラスチックのため強度を保つための厚みが出やすく、違和感を覚えるなどの不便を感じることがあります。また、固定式で独立した治療が可能なインプラントに比べると、咀嚼能力に劣るデメリットがあるでしょう。
入れ歯治療にかかる費用は、保険適用だと1歯3,000円ほどで作製できます。本数や形状によって費用が増えていきますが、大きな負担になることは少ないでしょう。強度や審美性に優れる自由診療で作製した場合は、医院にもよりますが30万円以上かかるでしょう。
ブリッジ治療は、失われた歯の両隣を削って土台にし、橋渡しのような形で被せ物を装着する治療方法です。インプラント治療とは異なり、両隣の健康な歯を犠牲にして被せ物を装着するため、歯の寿命を短くしてしまうデメリットがあります。
ブリッジ治療にかかる費用は、保険適用で1歯1~2万円ほどです。審美性に優れる自由診療で作製する場合は、医院にもよりますが30万円ほどかかるでしょう。本数や使用する材料によっても費用が異なるため、最終的な金額は医院へ確認してみましょう。
インプラントにかかる費用を少しでも安く抑えたいと考える方は少なくないでしょう。決して安いとはいえないため、負担を少なくしたいと考えるのも無理はありません。
ここでは、インプラント治療にかかる費用を安く抑えるコツを紹介します。条件が満たされればお得に治療を受けられる方法を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
医療費控除とは、確定申告をすることで支払った税金の一部が還付される制度です。一年間に支払った医療費が10万円(総所得が200万円未満の場合、総所得の5%)を超える方が対象で、生計をともにしている家族の分も合算して申告できます。
また、医療費控除では、実際に治療費として支払った費用の他にも、通院にかかった交通費や薬代も含まれます。領収書が出ないものは、忘れないように金額や日付けなどをメモして保管しておきましょう。
医療費控除で還付される金額は、以下の計算式で算出します。
◇医療費控除額
支払った医療費の合計額-保険金などで補填される金額-※10万円=医療費控除額
※総所得が200万未満の場合は、総所得の5%
(医療費控除額は200万円まで、マイナスになる場合は申告できません)
◇最終的に還付される金額
医療費控除額-所得税率※=還付額
(※所得税率は国税庁のホームページで確認できます)
医療費控除額がそのまま還付されるわけではなく、所得税率をかけて算出した金額が還付されます。申告する方の所得税率が高いほど還付される金額が大きくなるので、家族のなかでもっとも所得が多い方が申告をするとお得に受け取れます。
インプラント治療は、1本増えるごとに治療費が高額になってしまいます。インプラントを埋入する本数が多ければ多いほど治療費がかさんでしまうので、インプラント治療を受ける本数を減らすことも、費用を抑えられる一つの方法です。
例えば、「オールオン4」という治療法では、4本のインプラントで歯を支えることができるので、インプラントの本数を減らすことができます。またインプラントを固定源に利用して入れ歯を装着する「インプラントオーバーデンチャー」も安価な治療が可能です。
インプラント治療の治療費を抑えるコツに、格安インプラントを受ける方法もありますが、あまり得策とはいえません。なぜなら、格安インプラントは手術が行われる診療室の環境が劣悪であったり、使用するインプラントメーカーが安価なものであったりと、のちにトラブルが発生する可能性があるからです。
ただし、費用が安いからといって治療の質が必ず劣るわけではなく、高額であるほど高品質な治療が受けられるわけでもありません。それぞれの医院が設定している価格や使用しているインプラントメーカー、施設の充実さなどを考慮して、納得できる医院で治療を受けるようにしましょう。
インプラント治療は、基本的には保険が適用されない自由診療です。そのため、治療にかかる費用は全額負担する必要があります。
ただし、先天的な骨格の異常や、他の疾患で顎を大きく切除した場合などは健康保険が適用されるケースもあります。適用にはそれぞれ条件があるため、くわしい内容は歯科医院へ相談してみましょう。
インプラント治療の費用相場や、安く抑えるコツについて解説しました。インプラント治療は、費用が高額になりがちで手術もともなうため、気軽に受けられる治療とはいえないでしょう。
しかし、少しのコツを抑えることで、お得に治療を受けられることもあります。インプラント治療を検討している方は、まずは歯科医院でカウンセリングを受けてみましょう。
山手歯科クリニックでは、25年以上の実績と最新の技術で、安全かつ最善のインプラント治療を提供しています。インプラントだけでなく、虫歯や歯周病の治療も行う「総合クリニック」として、患者さまのお口の健康をサポートしているため、お口のトラブルでお悩みの方は、お気軽に山手歯科クリニックへご相談くださいませ。
監修:理事長/齋藤和重