重度歯周病になると顎の骨が溶けるって本当?歯茎が下がる原因はコレ

1. 歯ぐきが下がってきた?実はそれ、重度歯周病のサインかもしれません

・歯ぐきの下がりが「老化」だけとは限らない理由

鏡を見たとき、「なんだか歯が長く見える」と感じたことはありませんか?

多くの方は「年齢のせい」「歯磨きしすぎたかな」と思うかもしれません。しかし、歯ぐきが下がる原因の多くは、実は歯周病です。特に、炎症が長く続いて顎の骨が溶けるほど進行した「重度歯周病」では、歯ぐきの後退がはっきりと見られるようになります。

歯ぐきが下がるというのは、見た目だけの問題ではなく、歯を支える土台である骨が破壊され始めているサインです。放置すれば、歯がぐらつき、最終的には抜けてしまう可能性もあります。

・見た目の変化とともに進む“静かな病気”

歯周病の怖いところは、痛みや違和感が少ないまま進行する点です。

「歯ブラシに血がつく」「歯ぐきがむずがゆい」といった軽い症状から始まり、気づかないうちに炎症が深部に及びます。炎症が長引くと、歯の根元を支える歯槽骨が少しずつ吸収されていき、歯ぐきが下がって歯が長く見えるようになるのです。

この時点でも痛みがないため、「問題ない」と思いがちですが、実際には顎の骨がすでにダメージを受けているケースが多く見られます。

歯ぐきの下がりは“見える炎症のサイン”です。進行を止めるには、早めの歯科受診が欠かせません。

・早めに気づくことで歯を守ることができる

歯周病は、早期であればあるほど回復しやすい病気です。

定期検診で歯ぐきの状態をチェックし、専門的なクリーニング(スケーリング)を受けることで、歯石や細菌の温床を取り除けます。これにより炎症を抑え、歯ぐきの再生を促すことが可能です。

また、正しいブラッシング方法や生活習慣の見直しも重要です。強すぎる力で磨くと歯ぐきを傷つけ、逆に下がりを進行させることもあります。

「歯が長くなった気がする」「歯ぐきの色が変わった」と感じたら、それは早期発見のチャンス。

放置せず、専門の歯周病治療を行うことで、顎の骨をこれ以上溶かさず、歯を守ることができます。

ほんの小さな違和感が、あなたの歯を救う第一歩になるのです。

2. 歯周病で「顎の骨が溶ける」とはどういう状態?

・歯を支える「歯槽骨(しそうこつ)」が壊れていく仕組み

「歯周病で骨が溶ける」と聞くと、少し信じがたいように感じる方も多いでしょう。

実際に歯そのものが溶けるわけではなく、歯を支える土台である歯槽骨(しそうこつ)が炎症によって破壊されることを指します。

健康な状態では、歯槽骨がしっかりと歯の根を包み込み、噛む力を支えています。ところが、歯周病菌によって歯ぐきの周囲に炎症が起こると、その炎症が少しずつ深部の骨まで波及。

免疫反応の一環として放出される「サイトカイン」という物質が、骨を溶かす細胞(破骨細胞)を活性化し、結果的に骨が吸収されていくのです。

このようにして、歯ぐきの下で目に見えないうちに顎の骨が溶けていく――これが重度歯周病の恐ろしさです。

・なぜ歯ぐきの炎症が骨にまで及ぶのか

歯周病の始まりは、歯と歯ぐきの境目に溜まったプラーク(歯垢)です。

この中には数百種類以上の細菌が存在し、やがて歯石となって歯ぐきの奥に入り込みます。細菌が放出する毒素が歯ぐきの組織を刺激し、免疫反応が過剰に働くことで炎症が慢性化します。

やがて炎症が歯槽骨にまで到達すると、骨を溶かして炎症を鎮めようとする「自己防衛反応」が起こります。これが、歯槽骨の吸収です。

初期段階では目立たないものの、進行すると歯がグラグラしたり、噛むと違和感が出たりします。重度の場合は、歯が自然に抜け落ちることさえあるのです。

つまり、「顎の骨が溶ける」とは、細菌の感染と身体の防御反応が拮抗し続けた結果、支えの骨が失われてしまう状態を意味します。

・骨が減ると歯がぐらつく――そのメカニズムと危険信号

歯槽骨は、歯を柱のように支える非常に重要な組織です。

骨が吸収されると、歯の支えが弱くなり、噛むたびに歯が動くようになります。最初は「少し違和感がある」「噛んだとき浮くような感じがする」といった軽い症状でも、放置すると骨の吸収が加速します。

やがて歯と歯ぐきの隙間(歯周ポケット)が深くなり、さらに細菌が入り込み、炎症が悪化する――この悪循環が、重度歯周病の典型的な進行パターンです。

また、骨が減ることで歯ぐきの位置も後退し、歯が長く見えるようになります。これが「歯茎が下がる」現象です。見た目の変化だけでなく、知覚過敏や口臭、噛み合わせのずれなどのトラブルを引き起こすこともあります。

もし、「歯がしみる」「歯の根元が見えてきた」「歯が浮くような感じがする」などのサインに気づいたら、それは顎の骨がダメージを受けているサインかもしれません。

歯科医院では、レントゲンやCTを使って骨の状態を正確に確認できます。

目に見えない骨の変化を放置しないこと――それが、歯を失わないための第一歩です。

顎の骨が溶けるほど進んだ重度歯周病でも、適切な治療と継続的なケアで改善を目指すことが可能です。

骨の再生を促す治療法や、感染を抑える最新の歯周病治療も登場しています。

「もう遅いかも」と諦めず、少しでも違和感があれば、早めに歯科で状態を確認してみましょう。

今の一歩が、これから先の歯と笑顔を守る大きな分かれ道になります。

3. 歯ぐきが下がる3つの主な原因

・歯周病による歯肉と骨の破壊

歯ぐきが下がる原因の中でも最も多いのが歯周病です。

歯と歯ぐきの間にプラーク(歯垢)がたまり、そこに繁殖した歯周病菌が炎症を引き起こすことで、歯を支える歯槽骨(顎の骨)が少しずつ溶けていきます。

骨が吸収されると、それに伴って歯ぐきも下がり、歯が長く見えるようになります。

初期段階では見た目の変化が少なく、痛みもほとんどありません。しかし、炎症が慢性化すると歯ぐきの組織が破壊され、骨の吸収が進行していきます。

この「顎の骨が溶ける」現象は、体が炎症を抑えるために起こす免疫反応の一種ですが、結果として歯を支える土台が失われてしまうのです。

一度失われた骨や歯ぐきを完全に元通りにするのは難しいため、早期に治療を受けて進行を止めることが大切です。

・強すぎるブラッシング圧や誤った磨き方

「毎日しっかり磨いているのに歯ぐきが下がってきた」という方は、歯磨きの力が強すぎる可能性があります。

硬い毛の歯ブラシでゴシゴシ磨いたり、横方向に力を入れて動かしたりすると、歯ぐきの組織が少しずつ傷つき、退縮(後退)してしまいます。

また、磨き残しを恐れて何度も同じ場所を磨く「磨きすぎ」も、歯ぐきに負担をかける原因の一つです。

理想的なのは、やわらかい毛の歯ブラシを使い、歯と歯ぐきの境目に軽く当てて細かく動かす「バス法」などの優しい磨き方。

力を抜いて丁寧に磨くことが、結果的に歯ぐきを守る近道になります。

また、自己流のケアに不安がある場合は、歯科衛生士によるブラッシング指導を受けることで、正しい圧や角度を身につけることができます。

・加齢や噛み合わせの変化も影響している

年齢を重ねると、皮膚や筋肉と同じように、歯ぐきや骨も少しずつ変化していきます。

特に更年期以降の女性では、ホルモンバランスの変動により骨密度が低下しやすくなり、歯槽骨(顎の骨)がやせて歯ぐきが下がる傾向があります。

また、長年の噛み合わせの偏りや歯ぎしり、食いしばりなども、特定の歯に過剰な力をかけてしまい、骨の吸収や歯ぐきの退縮を引き起こすことがあります。

このような機械的な負担が続くと、歯ぐきが下がるだけでなく、歯の根元が削れてしみる(知覚過敏)症状が出ることもあります。

歯ぎしりが疑われる場合は、ナイトガード(マウスピース)の使用が有効です。

歯周病の治療と合わせて噛み合わせを整えることで、顎の骨や歯ぐきへの負担を減らし、再び健康な状態を取り戻すことができます。

このように「歯ぐきが下がる」原因は一つではなく、細菌感染・生活習慣・加齢変化が複合的に関わっています。

原因を正確に見極めるためには、歯科医院での精密検査が不可欠です。

歯ぐきが下がるという小さなサインを放置せず、今のうちにプロの目で確認してもらうことが、将来の歯を守る大きな一歩になります。

4. 「痛みがないのに進行する」重度歯周病の恐ろしさ

・初期症状がほとんど出ない理由

歯周病は「沈黙の病気」と呼ばれるほど、痛みがないまま進行していきます。

むし歯は歯の神経に近い部分が侵されると強い痛みが出ますが、歯周病の炎症は歯を支える組織――つまり歯ぐきや顎の骨にゆっくりと広がるため、痛覚が刺激されにくいのです。

そのため、軽い腫れや出血があっても「歯磨きのときにたまたま出た血」程度に感じて放置してしまう方が多く見られます。

しかし、見た目には変化がなくても、歯ぐきの下では確実に炎症が進み、顎の骨が少しずつ溶けていくのです。

痛みが出るころには、すでに重度歯周病の段階に達しているケースが少なくありません。

・「出血が止まった=治った」ではない

歯周病の進行を見極める上でよくある誤解が、「出血がなくなったから治った」というものです。

炎症が慢性化すると、歯ぐきの血流が悪くなり、出血しなくなることがあります。つまり、出血が減ったのは「良くなった」からではなく、むしろ症状が深部に潜って悪化しているサインかもしれません。

また、歯ぐきの腫れが引いたように見えても、実際には骨が吸収されて歯ぐきが下がり、見た目だけ“落ち着いたように見える”場合もあります。

この「見た目の回復」に安心して治療を中断してしまうと、再び細菌が増殖し、短期間で再発することも少なくありません。

歯周病は、一度治療して終わりではなく、定期的なメンテナンスでコントロールしていく病気なのです。

・気づいたときには骨吸収が進行していることも

歯周病が進行すると、歯ぐきの奥にある歯槽骨(顎の骨)が吸収され、歯を支える力が弱くなります。

この状態になると、歯が少し動く、噛むと浮くような感覚がある、歯の隙間が広がるなどの症状が現れます。

さらに進行すると、歯ぐきが下がって歯の根が露出し、知覚過敏や口臭、噛み合わせのずれなどが起こることもあります。

重度になると、わずかな衝撃で歯が抜け落ちることもあり、「もっと早く来ればよかった」と後悔される患者様も少なくありません。

ただし、現代の歯科医療では、こうした重度の状態でも治療法が存在します。

炎症を徹底的に除去し、骨の再生を促す治療(再生療法)や外科的処置によって、歯を残せる可能性が十分にあります。

重要なのは、「痛みがない=健康」と思わず、定期的に歯科でチェックを受けることです。

たとえ症状が軽くても、早い段階で炎症を見つけて治療を始めることで、顎の骨を守り、歯を一生残せる確率が大きく高まります。

歯周病は、静かに進行する分だけ、早期発見が何より大切です。

「痛くないから大丈夫」と思う習慣を変えることが、将来の歯を守る最善の予防策です。

たとえ今違和感がなくても、3か月〜半年に一度の定期検診を受けることで、重度化を防ぎ、健康な口元を維持することができます。

5. 顎の骨が溶けてしまうと、歯はどうなる?

・骨が支えられなくなると歯が動き始める

歯は、歯ぐきの中にある歯槽骨(しそうこつ)という顎の骨にしっかり支えられています。

この骨があるおかげで、硬い食べ物も噛むことができ、歯並びや噛み合わせも安定して保たれています。

しかし、歯周病が進行して炎症が長期間続くと、歯槽骨が炎症反応によって少しずつ吸収されていきます。

骨が減ると歯を支える力が弱まり、歯がわずかに動くようになります。最初は「歯が浮いたような感じ」や「噛むと違和感がある」といった軽い変化ですが、放置すると動揺が大きくなり、食事の際に痛みを伴うようになります。

これは重度歯周病に見られる典型的なサインで、骨の支えを失った歯は、やがて自然に抜け落ちてしまうこともあるのです。

・食べ物が噛みにくい、歯並びが変わるといった影響

顎の骨が溶けると、見た目や噛み心地にもさまざまな変化が現れます。

まず、歯ぐきが下がって歯が長く見えるようになり、歯と歯の間に隙間ができやすくなります。

隙間に食べ物が詰まりやすくなることで、細菌が繁殖しやすくなり、炎症がさらに悪化するという悪循環に陥ります。

また、骨の支えを失った歯は傾いたり、移動したりするため、歯並びが乱れ、噛み合わせにも影響します。

その結果、「しっかり噛めない」「発音しにくい」「顔のバランスが変わった」と感じる方も少なくありません。

さらに、顎の骨が減ると頬がこけたり、口元のハリが失われたりすることもあり、見た目の印象にも大きく関係してきます。

つまり、歯周病は「お口の中の病気」にとどまらず、生活の質や外見の若々しさにも影響する全身的な疾患なのです。

・放置すると歯が抜け落ちることもある

歯槽骨が一定以上吸収されると、歯を固定することができなくなります。

この状態になると、軽い衝撃でも歯がぐらつき、最終的には抜け落ちてしまうこともあります。

実際、日本人が歯を失う原因の第1位はむし歯ではなく歯周病です。特に中高年以降は、「気づいたときには骨がなくなっていた」というケースが非常に多く見られます。

ただし、近年では骨の再生を促す治療法(再生療法)が進化しており、失われた骨を取り戻すことも可能になっています。

また、早期に治療を始めれば、歯を抜かずに保存できるケースも少なくありません。

「もう手遅れかも…」と思っても、まずは歯科でレントゲンやCTによる精密検査を受けてみてください。

骨の吸収量や炎症の範囲を正確に把握することで、最適な治療方法が見つかります。

歯を支える骨は、あなたの生活の基盤です。しっかり噛める喜びを失わないためにも、今のうちに歯ぐきと骨の健康を守っていきましょう。

顎の骨が溶ける――それは、長年の炎症が積み重なった結果です。

しかし、正しい治療とケアを行えば、進行を止めることはできます。

歯ぐきのわずかな変化も、骨のSOSのサインかもしれません。

「最近歯が動く」「噛みにくい」と感じたら、できるだけ早く歯科医院で相談してみましょう。

その一歩が、これからのあなたの歯と健康を守る大切なきっかけになります。

6. 歯ぐきが下がると見た目にも影響が出る

・歯が長く見える・すき間が目立つようになる

鏡を見たとき、「歯が長くなった気がする」「歯と歯の間に黒いすき間が見える」――そんな変化を感じたら、それは歯茎が下がることで起こる典型的なサインです。

歯ぐきは、歯を保護するだけでなく、口元の美しさを支える重要な役割を持っています。

しかし、歯周病が進行すると、炎症によって歯を支える顎の骨が溶けるため、歯ぐきの位置が下がってしまいます。

すると歯の根元が露出し、歯が実際よりも長く見えるようになります。

また、歯ぐきの厚みが失われることで歯と歯の間にすき間ができ、そこに食べ物が詰まりやすくなるのも特徴です。

このすき間は「ブラックトライアングル」と呼ばれ、見た目の年齢印象を大きく左右する要因の一つでもあります。

・笑顔や口元の印象が老けて見える理由

歯ぐきが下がると、口元の印象にも大きな影響を与えます。

健康な歯ぐきはピンク色でふっくらしていますが、炎症や骨吸収が進むと、歯ぐきがやせて薄くなり、色も赤黒く変化します。

その結果、口元にハリがなくなり、笑ったときに歯が長く目立つようになるため、「老けた印象」「疲れて見える印象」を与えてしまうことがあります。

さらに、歯並びがわずかにずれることで、顔の左右バランスが崩れたり、ほうれい線が深く見えたりすることもあります。

実は、口元の印象は顔全体の若々しさに大きく関わるポイントなのです。

そのため、「美容的な悩み」として歯ぐきの下がりを気にされて歯科を訪れる方も少なくありません。

・審美的な回復には早期治療が不可欠

一度下がってしまった歯ぐきを完全に元の位置に戻すことは簡単ではありませんが、状態に応じていくつかの改善方法があります。

軽度の歯ぐきの下がりであれば、歯周病の治療やプラークコントロールを徹底することで炎症を抑え、進行を止めることが可能です。

中等度〜重度の場合には、歯周再生療法歯肉移植などの審美的治療で、歯ぐきのボリュームを回復させることもできます。

また、歯ぐきの位置を整えることで、噛み合わせや歯列バランスが改善し、顔全体の印象が自然に若返るケースもあります。

重要なのは、見た目の変化を「美容の問題」として片づけず、「健康のサイン」として受け止めることです。

「歯ぐきが下がってきた」「歯が長く見える」と感じたら、早めに歯科医院で原因を調べ、必要に応じた治療を受けましょう。

口元の美しさと健康は切り離せません。

早期のケアで、見た目も機能も守ることができるのです。

歯ぐきの下がりは、年齢や遺伝のせいだけではありません。

その多くは歯周病や生活習慣、噛み合わせの影響によって起こります。

気になる見た目の変化は、歯と歯ぐきからの小さなSOS。

「美しい笑顔を取り戻したい」「このまま歯を失いたくない」と思ったら、ぜひ歯科でご相談ください。

健康な歯ぐきは、あなたの笑顔をより自然で若々しく見せてくれます。

7. 重度歯周病を悪化させる生活習慣

・喫煙・ストレス・睡眠不足が招く炎症反応

歯周病の進行を早める大きな要因の一つが生活習慣です。

特に喫煙は、歯ぐきの血流を悪化させ、免疫機能を低下させることで、炎症を治りにくくします。タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素が毛細血管を収縮させ、歯ぐきの酸素供給を妨げるため、治療をしても改善しにくい状態が続いてしまうのです。

また、慢性的なストレス睡眠不足も、歯周病を悪化させる隠れた原因です。ストレスを感じると、体内で「コルチゾール」というホルモンが分泌され、免疫反応が抑制されます。その結果、歯周病菌に対抗する力が弱まり、炎症が進行しやすくなるのです。

「夜更かし」「寝つきが悪い」「仕事のストレスで歯ぎしりが増えた」といった状態が続くと、顎の骨にも負担がかかり、結果的に顎の骨が溶けるリスクを高めてしまいます。

・栄養バランスの乱れと免疫力の低下

食生活の乱れも歯周病の進行に大きく関わります。

例えば、糖分の多い食事は歯周病菌の栄養源となり、炎症を悪化させます。一方で、鉄分・ビタミンC・タンパク質・亜鉛といった栄養素が不足すると、歯ぐきの再生や免疫細胞の働きが低下し、治りにくい状態が続きます。

特にビタミンCはコラーゲンの生成に関わり、歯ぐきの弾力や血管の健康を保つために欠かせません。

また、カルシウムやビタミンDが不足すると骨の代謝が悪くなり、歯を支える骨が弱くなります。これは、「歯ぐきが下がる」原因にもつながります。

つまり、歯周病の改善には“歯磨き”だけでなく、“食事の見直し”も欠かせないということです。

毎日の食事で、体の内側から歯ぐきを支える意識を持ちましょう。

・間違ったセルフケアが進行を早めることも

「しっかり磨けば大丈夫」と思っていても、実は自己流のケアが歯周病を悪化させてしまうこともあります。

たとえば、強すぎるブラッシングで歯ぐきを傷つけたり、磨き残しを恐れて硬い歯ブラシを使ったりすることは逆効果です。

また、歯間ブラシやフロスを使わずに表面だけを磨いていると、歯と歯の間にプラークが残り、炎症の温床になります。

さらに、自己判断で市販の薬用マウスウォッシュだけに頼っていると、症状を一時的に抑えるだけで原因の除去にはつながりません。

歯周病の原因は、目に見えない歯石や深い歯周ポケットの中の細菌にも潜んでいます。

本当に治すためには、専門の歯科でクリーニングや歯石除去を行い、正しいブラッシング方法を身につけることが重要です。

「磨いているのに治らない」と感じている方こそ、早めにプロのチェックを受けましょう。

重度歯周病は、日々の生活習慣が積み重なって進行する病気です。

喫煙やストレス、食生活、睡眠、歯磨き――そのどれもが歯ぐきの健康に直結しています。

顎の骨が溶けてからでは、治療も長期化しやすくなります。

「最近歯ぐきが下がってきた」「出血しやすい」と感じたときこそ、生活習慣を見直すチャンスです。

小さな意識の変化が、将来の歯を守る大きな一歩になります。

8. 顎の骨を再生させる「歯周再生治療」とは?

・失われた骨や歯ぐきを再生する新しい選択肢

一度顎の骨が溶けると、元には戻らない――そう思っている方も多いでしょう。

確かに、自然に骨が完全に再生することは難しいですが、近年の歯科医療では「再生療法」と呼ばれる治療法によって、失われた歯槽骨(歯を支える骨)や歯ぐきの再生を促すことができるようになっています。

これは、炎症の原因となる歯周ポケットの奥深くを清掃し、人工的な膜や特殊な薬剤を使って、骨や組織が再び作られる環境を整える治療です。

歯を支える土台を再構築できれば、ぐらついていた歯を安定させることができ、見た目の改善にもつながります。

重度歯周病で「もう抜くしかない」と言われた歯も、再生療法によって助けられるケースがあるのです。

・代表的な再生療法「エムドゲイン法」とは

歯周再生治療の中でも特に広く行われているのが、エムドゲイン法と呼ばれる方法です。

これは、スウェーデンで開発されたタンパク質を利用した再生治療で、歯の発生過程に関与する「エナメルマトリックスデリバティブ」という成分を歯の根の表面に塗布します。

この成分が細胞の働きを活性化させ、歯槽骨や歯ぐきの組織が再び形成されるよう促します。

外科的に歯ぐきを開き、感染した組織をきれいに取り除いた上で行うため、再発のリスクを抑えながら自然な再生を目指すことができます。

手術と聞くと不安に感じるかもしれませんが、局所麻酔を使用するため痛みはほとんどなく、術後も多くの方が日常生活にすぐ戻れています。

・再生治療の適応と治療後の注意点

すべてのケースで再生治療が適応できるわけではありません。

歯槽骨の吸収があまりにも広範囲に及んでいる場合や、歯の根の構造が複雑な場合には、他の治療法を選択することもあります。

そのため、治療を検討する際は、歯科用CTやレントゲンによる精密検査で骨の形や厚みをしっかり確認することが大切です。

治療後は、再び細菌感染を起こさないように、徹底したプラークコントロールが必要になります。

ブラッシング指導や定期的なクリーニングを続けることで、再生した骨や歯ぐきを長く維持することが可能です。

再生療法は「治して終わり」ではなく、「再発させないケア」が成功の鍵となります。

顎の骨が溶けるほど進んだ歯周病でも、希望を持てる時代になりました。

再生療法は、失われた骨や歯ぐきを取り戻し、再び自分の歯で噛めるようにするための治療です。

「もう手遅れかもしれない」と感じている方こそ、まずは相談してみてください。

一人ひとりの骨の状態に合わせた最適な治療プランで、歯を守る道がきっと見つかるはずです。

9. 歯を残すための「外科的歯周治療」も選択肢のひとつ

・重度歯周病で必要になる外科治療とは

歯周病が進行して顎の骨が溶けるほど重度になると、通常のクリーニングや薬による治療だけでは十分な改善が難しくなります。

歯ぐきの奥深くに歯石や感染した組織が残ったままだと、いくら表面をきれいにしても再発してしまうため、必要に応じて「外科的歯周治療」が行われます。

外科的といっても、大掛かりな手術ではありません。局所麻酔を用いて歯ぐきを小さく開き、肉眼では見えない歯根の奥にこびりついた歯石や炎症組織を丁寧に除去する治療です。

この処置によって、深い歯周ポケットを浅くし、再びプラークが溜まりにくい環境を作ります。

歯を失うリスクを下げ、今ある歯を長く残すための、非常に有効な方法の一つです。

・フラップ手術(歯肉剥離掻爬術)の流れ

外科的歯周治療の代表的な方法が、フラップ手術(歯肉剥離掻爬術:しにくはくりそうはじゅつ)です。

手順は、まず局所麻酔をして歯ぐきを慎重に開き、歯根の奥や骨の表面に付着した歯石・感染組織をすべて除去します。

その後、必要に応じて骨の形を整えたり、再生療法を併用して骨の回復を促したりすることもあります。

処置後は歯ぐきを元の位置に戻し、縫合して安定させます。

手術時間は1時間前後で、術後の痛みも軽度な場合がほとんどです。数日〜1週間で抜糸を行い、その後は通常の生活に戻ることができます。

この手術によって、歯周ポケット内の細菌を徹底的に除去できるため、重度歯周病でも改善が期待できるケースが多くあります。

・どの段階で外科的治療が必要になるのか

外科的歯周治療は、すべての患者様に必要というわけではありません。

軽度〜中等度の歯周病であれば、スケーリングやルートプレーニングなどの非外科的治療で十分に改善します。

しかし、歯周ポケットの深さが5mm以上、あるいはレントゲンで顎の骨の吸収が確認される場合には、外科的治療を検討することがあります。

特に、「歯ぐきが下がる」「歯が動く」「噛むと痛い」といった症状がある場合は、骨の破壊が進んでいる可能性が高いため、早期の外科処置が有効です。

また、外科的治療の後は、メンテナンスを継続することで再発を防ぐことができます。

定期的なクリーニングと正しいセルフケアを組み合わせれば、再び炎症が起こるリスクを最小限に抑えることができます。

治療後の歯ぐきが引き締まり、「噛むときに安定した」「出血が減った」と感じる患者様も多くいらっしゃいます。

外科的歯周治療は、歯を抜かずに残すための最後の砦ともいえる治療です。

「手術」と聞くと不安に感じるかもしれませんが、実際には多くの方が短期間で改善を実感しています。

重度の歯周病でも、諦める必要はありません。

顎の骨が溶けてしまう前に、そして歯を失う前に――専門的な治療を受けて、もう一度しっかり噛める喜びを取り戻しましょう。

10. 「もう手遅れかも…」と思ったら、まずは専門医に相談を

・骨の状態を正確に知ることから始めましょう

「歯がぐらぐらしている」「歯ぐきが下がって根元が見える」「顎の骨が溶けていると言われた」――そんな状態でも、諦めるのはまだ早いかもしれません。

重度歯周病の進行度は、外から見ただけでは分かりにくく、レントゲンやCT撮影で顎の骨の吸収状態を確認することで、初めて正確に把握できます。

歯を支える骨がどのくらい残っているのか、炎症がどの範囲に広がっているのかを診断し、それに合わせた治療計画を立てることが重要です。

骨が部分的に残っている場合は、再生療法や外科的歯周治療で歯を保存できる可能性があります。

「抜かないといけない」と言われた歯でも、専門的なアプローチによって助けられることがあるのです。

・状態に合わせた治療プランで歯を守る

当院では、炎症の程度や骨の吸収の進行具合に応じて、段階的な治療を行います。

初期〜中等度の場合は、スケーリングやルートプレーニングで細菌を徹底的に除去。

進行したケースでは、再生療法やフラップ手術など、骨や歯ぐきの再構築を目的とした治療が検討されます。

また、咬合(噛み合わせ)の調整や、歯ぎしり・食いしばりに対するナイトガードの使用なども、治療効果を長持ちさせる上で欠かせません。

さらに、治療後のメンテナンス体制も非常に重要です。歯科医院での定期的なクリーニングや、自宅での丁寧なブラッシングを続けることで、再発を防ぐことができます。

歯周病は「一度治して終わり」ではなく、「付き合いながらコントロールしていく」病気です。専門医と二人三脚で進めていくことが、歯を守る最善の方法なのです。

・一人で悩まず、信頼できる歯科で相談を

「歯を抜きたくない」「見た目が気になる」「治療が怖い」――こうした不安を抱える方は少なくありません。

しかし、歯科医療の進歩により、かつて抜歯が避けられなかったケースでも、顎の骨を再生させたり、歯を保存したりできる治療法が増えています。

また、治療時の痛みや不安に配慮した麻酔技術・鎮静法も整っており、「怖くて通えなかった」という方でも安心して治療を受けられる環境が整っています。

重度歯周病は時間との勝負です。放置するほど骨の吸収が進み、歯ぐきが下がってしまいます。

ですが、逆に「今からケアを始める」ことで、歯を残せる可能性は大きく変わります。

まずは検査だけでも構いません。現状を知ることが、治療の第一歩です。

あなたの歯を守る方法は、まだ必ずあります。

早めの相談で、これからの笑顔と食事の楽しみを取り戻しましょう。

顎の骨が溶けるほど進んだ歯周病でも、「もう遅い」ということはありません。

正しい診断、適切な治療、そして継続的なケア――この3つがそろえば、歯を残せる可能性は十分にあります。

気づいた今が、最も早いタイミングです。

東京都品川区YDC精密歯周病インプラント治療専門ガイド
監修:医療法人スマイルパートナーズ 理事長/齋藤和重
『山手歯科クリニック大井町』
住所:東京都品川区東大井5丁目25−1 カーサ大井町 1F

『山手歯科クリニック戸越公園』
住所:東京都品川区戸越5丁目10−18

*監修者

医療法人社団スマイルパートナーズ

理事長 齋藤 和重

*経歴

1990年 鶴見大学歯学部卒業。1991年 インプラント専門医に勤務。1999年 山手歯科クリニック開業。

2001年 INTERNATIONAL DENTAL ACADEMY ADVANCED PROSTHODONTICS卒業。

2010年 医療法人社団スマイルパートナーズ設立。

*所属

ICOI国際インプラント学会 指導医

ICOI国際インプラント学会 ローカルエリアディレクター

ITI国際インプラント・歯科再生学会 公認 インプラントスペシャリスト

ITI Member

OAM先進インプラント認定医・公認インストラクター

日本口腔インプラント学会 会員

日本顎顔面インプラント学会 会員

国際審美学会 会員

日本歯科審美学会 会員

日本アンチエイジング歯科学会 会員

・INTERNATIONAL DENTAL ACADEMY ADVANCED PROSTHODONTICS(2001年)

CID Club (Center of Implant Dentistry)所属

みなとみらい(MM)インプラントアカデミー 所属

国際歯周内科研究会 所属

5-D JAPAN 所属

デンタルコンセプト21 所属

・インディアナ大学歯学部 客員 講師

・南カルフォルニア大学(USC)客員研究員

・南カルフォルニア大学(USC)アンバサダー

・USC (南カルフォルニア大学)歯学部JP卒

・USC   University of Southern California)センチュリー・クラブ

・プレミアム・メンバー

※詳しいプロフィールはこちらより

ホームページ運営について

医療法人スマイルパートナーズでは、各分野の知識豊富な歯科医師の監修のもとで運営されており、正確で信頼性のある医療情報の提供に努めます。また、東京都品川区の審美インプラント治療専門歯科として安心して治療に臨める環境づくりを大切にしています。