O.A.Mインプラントとは?骨量の少ない人にも適した低侵襲の治療法
1. 「骨量が少なくてインプラントは無理?」と悩む方へ──O.A.Mインプラントという選択肢

・骨が少ないと言われた方に広がる不安
インプラント治療を検討している方にとって、「骨が足りないので難しいかもしれません」という説明は、大きなショックとして受け止められることが少なくありません。長く噛みにくさを我慢してきた方ほど、「やっと治療の決意を固めたのに、また振り出しに戻ってしまうのではないか」と不安を抱きやすくなります。骨量は、歯を失ってからの時間が長いほど減っていく傾向があり、入れ歯の使用や加齢、歯周病なども影響します。そのため、意図せず骨が薄くなってしまうことは決して珍しいことではなく、多くの患者様が同じ悩みを抱えています。
・従来法では難しかったケースも治療できる可能性
従来のインプラント治療では、ドリルで骨を削って穴を形成し、その中にインプラント体を埋め込む方法が一般的でした。しかし、骨が薄かったり柔らかかったりすると、削ったことでさらに骨が減り、インプラントを安定させることが難しくなるケースがありました。そのような背景から、「骨造成が必要」「治療ができない可能性がある」などと説明され、治療選択肢が限られてしまうことも多かったのです。
そこで注目されるようになったのが、O.A.Mインプラント(Osteotome Technique)というアプローチです。これは骨を削るのではなく、専用の細い器具を用いて骨を“押し広げていく”という独自の方法です。骨を残したまま内部の密度を高め、インプラントが収まるスペースを作るため、骨量が少ないと診断された方でも治療の可能性が広がります。従来法では難しいとされていたケースに、新たな選択肢を提示できる点が大きな特徴です。
・O.A.Mインプラントが誕生した背景と“低侵襲”という考え方
O.A.Mインプラントが生まれた背景には、「できるだけ骨を削らず、身体への負担を最小限にする」という低侵襲の治療哲学があります。骨を広げる動きは非常に細やかで、骨質に合わせて少しずつ圧をかけながら進めます。そのため、術中のダメージが少なく、骨の温存につながりやすいとされています。結果として、術後の腫れや痛みが抑えられ、日常生活への復帰がスムーズになるケースもあります。
また、骨を広げる過程で内部が圧縮されるため、インプラントを支える骨の密度が高まり、安定性が得られやすい点も特徴です。「骨が薄いと治療は難しい」と不安になっている方にとって、この“骨を活かす”考え方は大きな安心材料になるでしょう。もちろんすべての方に適応できるわけではありませんが、治療選択肢が広がることは確かであり、インプラント治療を諦めていた方に新しい希望をもたらす治療法といえます。
2. O.A.Mインプラントとは?—特殊な器具で骨を「広げる」独自のアプローチ

・O.A.Mインプラントの基礎的な特徴
O.A.Mインプラント(Osteotome Technique)は、一般的なドリル式のインプラント治療とは発想が大きく異なる方法です。多くの方がイメージするインプラント手術は、「ドリルで骨に穴を開ける」工程ですが、O.A.Mでは骨を削る量を最小限にとどめ、専用の器具(オステオトーム)を用いて骨を押し広げながらインプラントを埋入するスペースを確保します。
骨そのものを活かしながら治療が進むため、骨量が少ないと言われた方でも、治療の可能性が広がる点が大きな特徴です。骨質が柔らかい部位でも、拡大操作により密度を高められることがあり、インプラントの安定性を得やすいというメリットがあります。
・回転ではなく“叩いて広げる”技術
この治療法の最大のポイントは、ドリルのように高速回転で骨を削るのではなく、細かな力を加えながら徐々に骨を拡げていくという点です。オステオトームという棒状の器具を用い、歯科医師が骨の状態を指先で感じ取りながら、慎重に力の加減を調整して進めていきます。
この「骨を叩いて広げる」という表現は一見強い印象を持たれるかもしれませんが、実際には非常に繊細な技術で、骨の形状・密度・弾力を読み取りながら行われる高度な手技です。
また、ドリルの熱による骨へのダメージを抑えられるため、骨の生理的な反応を保ちやすく、治癒の面でもメリットがあります。骨の内部に小さな亀裂をつくりながら密度を高めていくため、インプラントを固定する際の初期安定性が得られやすく、治療の成功率に寄与すると考えられています。
・骨量の少ない方に向く理由の全体像
O.A.Mインプラントが骨量の少ない方に向いている理由は、単に「骨を広げられるから」というだけではありません。骨を削らないことで骨の高さや幅を温存できるほか、拡大操作によって骨質そのものが引き締まり、インプラントを支える力が強く働くようになる点が大きな利点です。
特に上顎の前歯部や臼歯部は骨が柔らかい傾向があり、従来の方法では安定が得られにくいケースがありました。しかし、O.A.Mインプラントでは骨質の改善が期待できるため、これまで「骨が薄いから厳しい」と言われた部位でも治療が前向きに検討できる可能性があります。
もちろん、どのケースにも万能な治療法ではありませんが、骨量不足でインプラントを諦めかけていた方にとって、現実的な選択肢となりうる治療であり、患者様の希望を叶えるための重要なアプローチのひとつです。
3. 他のインプラント法との違い──「削る」から「広げる」へ

・一般的なドリル式との比較
インプラント治療というと、多くの方が「ドリルで骨に穴をあける手術」を思い浮かべます。実際、従来のインプラント治療ではドリルを使用する方法が主流で、必要な大きさまで骨を削りながらインプラントが入るスペースを形成します。この方法は精密で汎用性も高く、現在でも広く行われています。しかし、骨量が少ない部位では削ったことでさらに骨が薄くなり、インプラントの安定を確保しづらいケースがありました。
O.A.Mインプラントは、こうした“削ることによる骨量の減少”を最小限にするために開発された技術です。骨を削るのではなく、可能な限り骨の形状と質を残しながら治療を進めるため、骨量不足と言われた方にも適応できる可能性が広がります。
・骨を温存できるメリット
O.A.Mインプラントの大きな特徴のひとつが「骨の温存」です。骨を押し広げてスペースを確保することで、骨の体積を減らさずにインプラントを埋め込むことができます。特に上顎は骨が柔らかく、ドリル式では削る量が増えるほどインプラントが安定しにくくなる傾向があります。O.A.Mでは、骨を残したまま内部を圧縮し、密度を高める方向に働くため、インプラントの初期安定を確保しやすくなります。
また、骨を広げる過程で骨内部に微細な骨折(マイクロフラクチャー)が生じますが、これが治癒の過程で新しい骨形成を促し、より丈夫な土台へと変化していくことも期待されます。削って骨を減らす従来法とは異なり、O.A.Mインプラントでは「骨を活かして強くする」という発想が治療の根底にあります。
・骨密度が低い方にも適応しやすい仕組み
骨密度の低い方にとって、従来のドリル方式では削った部分がそのまま弱点となり、インプラントの固定に問題が生じるリスクがありました。しかしO.A.Mインプラントでは、骨質によって押し広げ方を変えながら、密度が増す方向へと骨を誘導していきます。そのため、骨が柔らかい場所でも十分な初期安定を得られる可能性が高まります。
特に、加齢や歯周病の影響で骨密度が落ちている方、また長年入れ歯を使用してきたことで顎骨が痩せてしまった方にとって、O.A.Mインプラントは大きなメリットをもたらす治療法です。もちろん個々の骨の状態により適応の可否は異なりますが、「削る」ことを前提としない分、骨質の条件による制限が少ないという特徴があります。
結果として、これまで「骨量が足りません」と診断され、治療を諦めかけていた方にも新しい可能性を届けられる点が、O.A.Mインプラントの価値のひとつと言えるでしょう。
4. 骨量が少ない人でも可能性が広がる理由

・骨造成が必要なケースを減らせる考え方
一般的に、骨量が不足していると診断された場合には、骨造成(骨を増やす処置)を行ったうえでインプラント治療を進めることが多くありました。骨造成は大切な処置ですが、追加の手術が必要になり、治療期間や侵襲が増えるため、不安や負担を感じる方も少なくありません。
O.A.Mインプラントでは、骨を削るのではなく押し広げるアプローチを取るため、既存の骨を最大限に活用できます。結果として、従来なら骨造成が必要と判断されていたケースでも、O.A.Mインプラントなら骨を増やさずに治療を進められる可能性が生まれます。
もちろんすべてのケースに当てはまるわけではありませんが、「骨が少ない=治療できない」という単純な図式ではなく、骨を“活かす”という新しい考え方によって選択肢が広がる点は大きなメリットです。
・上顎と下顎で異なる骨量不足の特徴
骨量が少ないといっても、上顎と下顎では事情が少し異なります。上顎はもともと骨が柔らかく吸収が進みやすいため、歯を失ってから時間が経つほど骨が薄くなる傾向があります。そのため、ドリルで削る従来の方法では十分な初期安定を得るのが難しいことも多く見られました。
一方、下顎は比較的骨が硬く密度が高いものの、幅が細くなってしまっているケースではインプラントが入るスペースが不足しがちです。こうした上下顎それぞれの問題点に対して、O.A.Mインプラントは「骨を残しながら必要な幅を確保できる」という特性を持つため、従来法よりも適応範囲が広くなる可能性があります。
特に上顎の柔らかい骨においては、圧縮することで密度が高まり、インプラントを支えるための条件が整えられる場合もあります。患者様一人ひとりの骨の状態に合わせて手技を細かく調整できる点が、O.A.Mインプラントならではの特徴です。
・年齢や健康状態による影響とO.A.Mの適応力
骨量の低下は年齢を重ねることによって進行することが多く、特に高齢の方は顎骨が痩せてしまっているケースが珍しくありません。また、骨粗しょう症や長期的な入れ歯の使用、歯周病の既往なども骨量不足の原因となります。
こうした総合的な要因が重なると、従来のインプラント治療だけでは治療の選択肢が限られてしまうことがあります。しかし、O.A.Mインプラントは低侵襲かつ骨の状態に合わせて細かく調整ができるため、年齢や骨質による制約が比較的少ない治療法といえます。
もちろん医師による精密な診断が不可欠ですが、「年齢が高いから難しいのでは」「骨が弱いからできないのでは」と不安を抱えていた方にとって、治療の可能性が広がることは大きな希望になります。骨量が少ないと診断された方でも、その状態に応じた無理のない治療計画を立てられる点が、O.A.Mインプラントの価値のひとつといえるでしょう。
5. O.A.Mインプラントのメリット──「痛みが少ない」「腫れにくい」低侵襲治療

・術後の負担を抑えられる理由
O.A.Mインプラントは、従来のドリル式のように骨を大きく削らず、特殊な器具で少しずつ押し広げていく方法を採用しているため、手術中の侵襲が比較的少ないとされています。骨を削った際に起こりやすい熱の発生や骨の損失が抑えられるため、術後の痛みや腫れが少なく済む傾向があります。
また、骨を押し広げる過程で骨内部の密度が高まり、インプラントを支える力が働きやすくなる点も特徴です。こうした骨の反応は治癒にも良い影響を与え、術後の経過が比較的安定しやすいといわれています。患者様にとって、「痛みが少ない」「腫れにくい」というメリットは、治療への心理的なハードルを下げる重要なポイントです。
・骨とインプラントが安定しやすい環境
従来のドリル方式では、必要なスペースを確保するために骨を削るため、削った部分がそのまま弱点となり、骨質が柔らかい場合には初期の安定が得られにくいケースがありました。一方、O.A.Mインプラントでは骨を押し広げる際に内部が圧縮され、結果として密度が高く締まった状態になります。この“骨を締める”効果が、インプラントをしっかり固定するための大きな助けとなり、安定した治癒につながりやすいと考えられています。
また、骨を温存しながらスペースを形成するため、インプラントの周囲に健康な骨が多く残ることも大きな利点です。骨がしっかり存在することは長期的な安定に直結するため、治療後の持続性という観点でもメリットがあります。
・早期の回復が見込めるケースも
O.A.Mインプラントが低侵襲とされる理由には、「組織のダメージが少ない=治癒が早まりやすい」という特徴があります。骨を削る処置に比べて出血量が少なく、局所の炎症が抑えられやすいため、術後に大きく腫れが出ることは比較的少ないとされています。仕事や家事など、日常生活に早く戻りたい方にとって、この点は非常に大きなメリットです。
さらに、初期安定性が得られやすいケースでは、治癒期間の短縮につながることもあり、場合によっては仮歯の装着までの流れがスムーズに進むこともあります。ただし、治癒のスピードには個人差があり、骨の状態や生活習慣によっても左右されます。
O.A.Mインプラントは、新しい骨造成を伴うような大きな処置を避けたい方や、少ない負担で治療を進めたい方にとって、現実的で魅力的な選択肢となり得る治療法といえるでしょう。
6. O.A.Mインプラントのデメリットと注意点

・適応できないケースもある
O.A.Mインプラントは骨量が少ない方にも適応できる可能性が広い治療法ですが、すべての症例に万能というわけではありません。特に、骨の高さが極端に不足している場合や、骨に大きな欠損があるケースでは、この方法だけでは十分な安定が得られないことがあります。また、骨質が極端に弱い場合には、押し広げることで骨が割れたり変形したりするリスクがあるため、慎重な診断が欠かせません。
さらに、インプラントの埋入位置や角度に制限が出る場合もあり、複雑な咬み合わせや審美性が重視される部位では、他の治療法と併用する必要が生じることもあります。O.A.Mインプラントが適しているかどうかは、CT画像を含めた精密検査で骨の形態や密度を細かく確認した上で判断することが重要です。
・熟練した技術を必要とする治療
O.A.Mインプラントは「骨を削らずに押し広げる」という特性ゆえに、非常に繊細な技術を必要とする治療です。押し広げる力の加減や方向を誤ると、骨に余計なストレスがかかってしまい、骨折やインプラントの不安定化につながる可能性があります。そのため、治療を行う歯科医師には、十分な経験と技術が求められます。
また、骨の状態は患者様ごとに大きく異なり、同じ押し広げ方が通用することはありません。骨の硬さ・厚み・形状を読み取り、適切な順序と力で器具を操作する必要があるため、治療の質は歯科医師の熟練度に左右されやすいといえます。
O.A.Mインプラントを検討する際には、治療経験や症例数、事前の説明の丁寧さなどを確認し、自分に合った治療法かどうかをしっかり見極めることが大切です。
・事前検査で確認すべきポイント
O.A.Mインプラントが適応できるかどうかを判断するには、精密な検査が必要です。CT撮影によって骨の高さや幅、骨質、周囲の解剖学的構造を正確に把握し、無理のない治療計画を立てることが欠かせません。特に上顎洞の位置や神経の走行は個人差が大きいため、詳細な診断が重要となります。
また、骨が薄い部分に適応する場合でも、周囲の骨の厚みや、インプラントを固定できる最低限のスペースがあるかどうかを見極める必要があります。適応範囲が広いとはいえ、無理に押し広げようとすると骨にダメージを与える可能性があるため、慎重に判断することが求められます。
これらの点を理解した上で治療を選択することで、患者様自身も安心してインプラント治療に臨むことができ、治療後のメンテナンスにも前向きに取り組めるようになります。
7. O.A.Mインプラントの治療の流れ

・精密検査と診断で適応を見極める
O.A.Mインプラントは、骨の状態に合わせて力の加え方や器具の選択を細かく調整する必要があるため、治療前の精密な検査が非常に重要です。まずCT撮影によって、骨の高さ・幅・密度・形態を立体的に確認し、インプラントを埋入できるかどうかを丁寧に診断します。特に上顎洞や神経の位置、骨の硬さは患者様ごとに大きく異なるため、事前の分析が欠かせません。
検査結果をもとに、O.A.Mインプラントが適応できるか、また治療を安全に進めるための計画を立てていきます。骨の状態によっては、他のインプラント法との併用が適切と判断される場合もあります。このように、個々の骨質・骨量に合わせた治療計画が立てられる点は、O.A.Mインプラントの大きな特徴のひとつです。
・骨を押し広げてインプラントを埋入する工程
治療の中心となるのが、専用の器具(オステオトーム)を用いて骨を押し広げる工程です。まず、細い器具を用いて最小限の穴を形成し、そこから段階的に太い器具へと変えていきながら骨を慎重に広げていきます。この過程は非常に繊細で、骨の抵抗感を指先で感じ取りながら、適切な力で操作を進める必要があります。
骨を広げると内部の密度が高まるため、インプラントが安定しやすい環境が整います。これは従来のドリル式では得られにくい特徴であり、骨量が少ないと言われた方にとって大きなメリットとなります。
その後、広げたスペースにインプラント体を埋入し、しっかりと固定されることを確認します。骨を削らずに押し広げるため、術中の出血や骨のダメージが抑えられ、術後の腫れや痛みが比較的少なく済むケースも見られます。
・仮歯の装着から治癒期間、最終補綴までの流れ
インプラントが埋入された後は、骨とインプラントが結合する治癒期間に入ります。この期間は骨質や部位によって異なり、一般的には数ヶ月程度が必要とされます。治癒が安定するまでは無理な力をかけないようにしつつ、必要に応じて仮歯を装着し、見た目や噛む機能を可能な範囲で確保することもあります。
治癒期間中には、定期的な診察で状態を確認し、炎症や不具合が起きていないかをチェックします。インプラントが十分に安定したことが確認できたら、最終的な被せ物(クラウン)を装着し、噛み合わせを調整して治療完了となります。
こうしてみるとインプラント治療は一つひとつの工程が丁寧に進められますが、その分、治療後の安定性や機能性につながる重要なプロセスです。患者様が安心して治療を受けられるよう、経過をしっかり見守りながら進めることが大切です。
8. 痛み・腫れ・ダウンタイムはどれくらい?患者様の負担を最小限にする工夫

・手術当日の流れと術後の一般的な経過
インプラント治療に対して、「痛みはどのくらい?」「腫れはどれほど続くの?」と不安に思われる患者様は非常に多くいらっしゃいます。特にO.A.Mインプラントは骨を押し広げるという特殊な手技のため、初めて聞くと大がかりな処置のように感じるかもしれません。しかし実際には、骨を削る量が少ないため、術後の体への負担が比較的抑えられる治療法です。
手術当日は局所麻酔を使用し、痛みを感じない状態で治療を進めます。処置後しばらくは麻酔の影響で違和感が残りますが、痛みのピークは一般的に術後1~2日といわれています。また、腫れが出る場合でも数日から1週間程度で落ち着くケースが多く、生活に大きな支障をきたすことはあまりありません。
ただし、腫れや痛みには個人差があり、骨の状態や手術内容によって異なるため、術後の注意点やケア方法をしっかり確認しながら過ごすことが大切です。
・術後の負担を軽減するための工夫
O.A.Mインプラントは、骨の内部構造を活かしながら治療を進めるため、骨へのダメージが抑えられ、痛みや炎症が比較的軽く済むといわれています。骨を押し広げる過程で密度が高まり、インプラントが安定しやすい環境が整うため、術後の治癒もスムーズに進むケースが見られます。
術後に負担を減らすためには、患者様自身のセルフケアも重要です。例えば、治療当日は入浴を避ける、過度な運動を控える、患部を冷やして炎症を抑えるなど、一般的な術後ケアを行うことで痛みや腫れの軽減が期待できます。また、処方される鎮痛薬や抗生物質は決められたとおりに服用し、無理に我慢しないことも大切です。
加えて、術後の食事は刺激の少ない柔らかいものからスタートし、徐々に通常の食事に戻していく方法が推奨されます。治癒期間は骨の状態によって異なるものの、適切なケアを行うことで快適に過ごせる時間が増えます。
・メンテナンスが長期安定の鍵に
O.A.Mインプラントに限らず、インプラント治療が長く安定して機能するためには、術後のメンテナンスが欠かせません。治療が順調に進んでいるように見えても、噛み合わせの変化や磨き残しなどが積み重なることで、インプラント周囲の炎症を引き起こすリスクがあるためです。
定期的に歯科医院でクリーニングとチェックを受けることで、インプラント周囲の健康状態を保ち、問題があっても早期に対応することができます。特にO.A.Mインプラントは骨を活かす治療法であるため、術後の経過が良好でも油断せず、口腔内を清潔に保つことが非常に重要です。
「治療が終わったらそこで終わり」ではなく、治療後も適切なメンテナンスを継続することで、より快適に長くインプラントを使い続けることができます。患者様にとって負担が少ない治療法だからこそ、長期的なケアを意識したいところです。
9. O.A.Mインプラントが向いている人・向いていない人

・骨量が少ない方に向いている理由
O.A.Mインプラントが特に力を発揮するのは、「骨が薄い」「骨密度が低い」と説明された方です。従来法では骨を削って穴を作るため、もともと骨が少ない方の場合、さらに骨が減ってしまいインプラントの安定が得られないケースがありました。しかしO.A.Mインプラントでは骨を削らず、押し広げることでスペースを作るため、既存の骨量を最大限に活かした治療が期待できます。
また、骨を広げる過程で内部が圧縮されるため、インプラントを支える骨の密度が高まることがあります。これにより初期安定性が高まりやすく、骨質が柔らかいケースにも対応できる点が、O.A.Mインプラントが「骨量が少ない人に適した治療」と言われるゆえんです。
長年入れ歯を使用していて骨が痩せてしまった方、加齢とともに骨量が低下している方、歯周病の既往があり骨が薄くなっている方などにも、治療の可能性が広がる点は大きな魅力といえます。
・O.A.Mインプラントが適さないケース
一方で、すべてのケースにO.A.Mインプラントが適応できるわけではありません。例えば、骨の高さが極端に不足している場合や、大きな骨欠損があるケースでは、押し広げるための最小限の骨がないため、別の治療法を優先する必要があります。また、骨が非常に脆く、圧を加えることで破折のリスクが高い場合も慎重な判断が求められます。
さらに、インプラントの埋入位置に高い精度が求められる審美領域や、角度の調整が難しい部位では、ドリル式やガイド手術など、別の方法が適していることもあります。
このように、骨量が少ない方に適した治療法でありながらもケースバイケースで選択が必要であることから、CTによる精密診断をもとに適応の可否をしっかり見極めることが重要です。
・生活習慣や全身状態も適応判断のポイントに
O.A.Mインプラントの適応を判断する際には、骨量だけでなく、生活習慣や全身の健康状態も大切な要素になります。例えば、強い食いしばりや歯ぎしりの癖がある場合、インプラントに過度の力がかかりやすく、治療後の安定に影響を及ぼすことがあります。また、喫煙習慣がある方は血流の問題から治癒が遅れる可能性があり、慎重な対応が求められます。
さらに、糖尿病をはじめとする全身疾患のコントロール状況や、服用中の薬剤によっても治癒経過が左右されることがあるため、事前に医師としっかり相談しておくことが大切です。
これらを総合的に判断し、患者様ごとに適切な治療計画を立てることで、O.A.Mインプラントはより安全かつ長期的に安定した結果が期待できる治療法となります。「骨量が少ないから無理だ」と思っている方でも、適切な診断を受けることで新たな可能性を見いだせるかもしれません。
10. 骨が少なくても諦めないで──より良い噛み合わせのためにできること

・治療法は一つではないという考え方
「骨量が少ない」と言われた途端に、インプラント治療を諦めてしまう方は少なくありません。しかし実際には、骨の状態に応じて選べる治療法は複数あり、その中の一つがO.A.Mインプラントです。骨を削らず、押し広げていくというアプローチは、これまで治療が難しいと判断されていたケースでも新たな可能性をもたらすことがあります。
もちろん、どの治療法にもメリットと注意点があり、すべてのケースに万能な方法は存在しません。しかし、正しい知識を持ち、骨の状態に合わせた選択肢を理解することで、「自分には無理なのでは」という漠然とした不安が解消され、前向きに治療を考えるきっかけになるはずです。
インプラント治療は長期的に口腔の健康を守るための選択肢の一つであり、患者様の生活の質を大きく向上させる可能性を秘めています。骨量が少ないという理由だけで諦める必要はありません。
・不安や疑問を相談できる環境の大切さ
治療を前向きに検討するうえで欠かせないのが、「安心して相談できる環境」です。初めてインプラント治療を考える患者様にとって、不安や疑問は決して小さくありません。「本当に骨が足りるのか」「痛みはどのくらいか」「治療後はどう過ごすべきか」など、さまざまな心配が浮かんでくるものです。
こうした不安に対して、納得できるまで説明を受けられる環境があることは、治療の第一歩になります。特にO.A.Mインプラントは骨の状態に合わせて慎重な判断が求められるため、事前相談やカウンセリングの時間が重要です。質問しづらいと感じている方でも、専門的な視点から分かりやすく説明を受けられることで、治療への理解が深まり、安心して次のステップに進めるようになります。
「相談できる相手がいる」というだけで、治療のハードルは大きく下がり、前向きに検討しやすくなるものです。
・長く使い続けるために必要なポイント
インプラント治療は、治療が終わった瞬間からスタートするといっても過言ではありません。特にO.A.Mインプラントのように、骨を活かして治療を行う方法では、術後のメンテナンスが長期的な安定を左右します。
定期的な検診やクリーニングで口腔環境を整えること、日常のブラッシングを丁寧に行うこと、強い力が集中しないよう噛み合わせを調整していくことは、インプラントを長く使い続けるために欠かせないポイントです。また、生活習慣の見直しも重要です。例えば、喫煙は治癒を遅らせるだけでなく、インプラント周囲の炎症リスクを高めるため、可能であれば控えることが推奨されます。
こうした取り組みを丁寧に続けていくことで、インプラントはより長く、より快適に機能し続けます。骨量の少ない方でも、適切な治療選択とメンテナンスによって、噛める喜びや食事を楽しむ生活を取り戻すことは十分に可能です。
大切なのは、「骨が少ないから」と悩み続けるのではなく、正しい知識を持ち、自分に合った治療法を前向きに検討する姿勢です。インプラント治療は、一歩踏み出すことで未来が大きく変わる選択肢となり得ます。
『 東京審美インプラント治療ガイド:監修 松本デンタルオフィス東京 』
監修:松本デンタルオフィス東京
所在地:東京都東大和市清原4丁目10−27 M‐ONEビル 2F
電話:042-569-8127
*監修者
医療法人社団桜風会 松本デンタルオフィス
院長 松本圭史
*経歴
2005年 日本大学歯学部卒業。2005年 日本大学歯学部歯科補綴学第Ⅲ講座 入局。
2006年 日本大学歯学部大学院 入学。2010年 同上 卒業。
2010年 日本大学歯学部歯学部歯科補綴学第Ⅲ講座 助教
2013年 日本大学歯学部歯学部歯科補綴学第Ⅲ講座 専修医
2016年 医療法人社団桜風会 松本デンタルオフィス 新規開院
*所属学会
・日本補綴歯科学会
・日本口腔インプラント学会
・日本歯科審美学会
・日本顎咬合学会
*スタディグループ
・5-D Japan
・Esthetic Explores
詳しいプロフィールはこちらより