2023/11/09
インプラント治療を検討する際に、腫れ・痛みが気になる方は少なくありません。
どの程度腫れるのか・どのくらい腫れるのか・痛みはどれほど続くのか、その腫れや痛みにどう対処するのが適切か把握しておくことは大切です。
この記事では、インプラント治療の「腫れ」や「痛み」について解説します。
歯科で「インプラント」といえば、失われた歯根に代えて人工歯根を顎の骨に埋め込み、それを土台にしてセラミック素材などで作った人工の歯を取り付けて欠損した歯を補う治療のことを指します。
一般的には単に「インプラント」と呼ばれていますが、正式名称は「口腔インプラント」または「歯科インプラント」です。
インプラント治療は虫歯治療や入れ歯やブリッジなどの失った歯の治療に比べて、長い期間を要することが多いです。
カウンセリング(インプラントの相談)からのインプラント治療の大まかな流れは、以下の通りとなります。
詳細を解説いたします。
模型やCTなどによる十分な診査と診断を行い、いくつかの治療プランが提案されます。
また、インプラント手術の内容、治療にかかる期間、費用について説明が行われるのもこの時です。
歯を失った部分へインプラントを埋入する一回目の手術が行われます。
手術は、埋入する本数によっても異なりますが、1時間前後で終了です。
手術は局所麻酔をして行われるため痛みはありません。
笑気ガスなどの不安を和らげる麻酔も併用して行われます。
手術後には痛みが出ますが、1~2日程度で落ち着くことがほとんどです。
一回目の手術の後、インプラントが顎の骨にしっかりと定着するまで、およそ2~6か月ほど待機期間があります。
その後、インプラントのヘッドの部分を歯肉の上へと露出させるための2回目の手術を行う場合もあるでしょう。
インプラントの上に土台を取り付け、その上にセラミック素材などで作られた人工歯を取り付けます。
インプラントは装着して終わりではありません。
正しいホームケアを行うとともに、定期的に歯科クリニックにて専門的なケアを行うことが重要です。
インプラントを長く、良い状態で使い続けるために、3~6か月に1回は定期健診とメンテナンスケアを行いましょう。
痛みの感じ方には大きな個人差があります。
あらかじめどんな場面で痛みを感じるポイントがあるかを把握しておくと心構えができるため、気分も変わってくるでしょう。
インプラント治療を行う際には、どんな痛みが想定される場面があるのかについて解説します。
まず考えられるのが麻酔をする痛みです。
インプラント手術の間には、歯茎に局所麻酔をします。
局所麻酔は通常の虫歯治療の際に使用する注射の麻酔と同じものが使われますが、麻酔の注射自体が苦手で痛みを感じる方も少なくありません。
なるべく痛みを感じないようにできる限りの工夫は行われますが、人によっては痛みを強く感じるでしょう。
通常、麻酔が効いていれば手術の際に痛みを感じることはありません。
麻酔の効きが悪い場合でも追加できるので、安心していただいて大丈夫でしょう。
しかしインプラントの手術では骨を削るので、その際の振動を感じたり、押される感じがしたりすることがあります。
手術に対して恐れや不安があるとそれもストレスとなって、思ったよりも痛みに対して敏感になるかもしれません。
不安感がぬぐえないなど、心配がある場合は手術前に歯科医師に相談してみましょう。
インプラントの手術後に麻酔が切れると、抜歯した時のような痛みが出てくるでしょう。
インプラントの本数が多かったり、骨造成手術を行ったりした場合は、より痛みが強く出る恐れがあります。
痛み止めが処方されますので、出された痛み止めを服用すれば、次第に痛みは落ち着いてくるはずです。
1~3日ほどで落ち着いてくることがほとんどなので、あまり心配しすぎないようにしてください。
ただし、3日経っても強い痛みがおさまらない場合には、歯科医師に連絡してみましょう。
インプラントの治療では多かれ少なかれ腫れが発生します。
多くの場合、手術を行った組織が傷を治すために反応して腫れを引き起こしているので、心配しなくても大丈夫です。
どんな時に腫れるのか、どのくらい腫れるのかについて解説します。
インプラントの手術では歯茎を切開し、骨を削り、インプラントを埋入するため、歯肉の腫れや出血を伴うのが一般的です。
組織を切ったり、削ったりするのですから痛みが出ますし、腫れも伴います。
インプラント手術後の強い痛みは1~3日ほどで落ち着いてきますが、腫れはもう少し続きます
腫れも個人差はありますが、数日~2週間ほどでおさまってくることがほとんどです。
手術直後の腫れは、手術による歯茎の切開や骨を削ったことが原因であり、正常な反応なので心配ありません。
違和感があったり、痛みがあったりと落ち着かない状態でしょう。
汚れや細菌からご自身を守るためにも、口腔内を衛生的に良い状態を保てるようにケアを行ってください。
インプラントの治療からだいぶ期間が経っても腫れや違和感がおさまらない場合、インプラント周囲粘膜炎やインプラント周囲炎といった炎症を引き起こしている可能性が考えられます。
インプラント周囲炎は進行のレベルによって「軽度・中度~重度・重度以上」の三段階です。
炎症が進んでいくと、最悪の場合には骨が溶けてしまう可能性があります。
インプラントにぐらつきや脱落が出ることもありますので、早めに医師に相談してください。
炎症の予防対策として効果的なのは、清潔な口腔内を維持することです。
日々の歯磨きでセルフケアを行い、定期的な歯科でのメンテナンスで腫れが起きないように守っていきましょう。
インプラント治療後に強い腫れが落ち着かない場合、インプラントの結合がうまくいっていない可能性や細菌に感染してしまった可能性があります。
腫れが引かないときに考えられる理由も見ていきましょう。
手術中や手術後に患部が衛生的に悪い状態になると、細菌に感染してしまい腫れや痛みを引き起こす可能性があるでしょう。
口の中には、300~700種類の細菌が生息しているといわれます。
カンジダ菌・黄色ブドウ球菌・緑膿菌・肺炎桿菌など、たくさんの細菌が混在している状態です。
そのため、インプラントの手術では常に細菌に感染するリスクが伴います。
また、免疫力が低下すると最近は増殖してしまいますので、体調への注意が必要です。
細菌は口蓋や舌の表面にも潜んでいますので、歯だけでなく舌や粘膜の清掃もしっかり行うように心がけましょう。
外科的なダメージが大きいときも、腫れや痛みが引かなくなる可能性があるでしょう。
手術による組織へのダメージは、医師のの技術によって大きく影響が異なります。
考えられるのが、インプラントの治療経験や手術実績に乏しい場合や、適切な準備がされていない場合などの外的要因です。
必要以上に歯茎や顎への外科的なダメージを与えてしまうことがあれば、手術後の回復にも影響を及ぼし、腫れや痛みも長引くことになります。
インプラントの手術では、顎の骨にインプラントを埋め込むために専用のドリルを使用します。
このドリルの取扱いが不適切だとオーバーヒートを引き起こし、顎の骨にやけどを生じる場合もあるのです。
顎の骨にやけどを負った場合、腫れや痛みが長引くことになります。
腫れや痛みが生じたら、なるべく早く落ち着かせたいものです。
そこでインプラント治療の際に生じた腫れや痛みを軽減する方法について解説します。
腫れや痛みがあって傷口が気になっても、舌や指でさわらないことが大切です。
健康な人でも、舌の表面や粘膜には数百万もの細菌が棲んでいるといわれています。
無意識に舌で触ってしまわないように注意しましょう。
腫れや痛みを軽減するためにも、口腔内は清潔に保ちましょう。
口腔内が不潔になると細菌に感染する危険性が大きくなります。
インプラント手術直後は手術部位を避けて通常通りの歯磨きを行ってください。
手術部位の周辺は汚れが残らないよう軽くゆすぐなどをして食べカスを取り除きましょう。
細菌を増やさないためにも口腔内のケアをしっかり行うことが大切です。
インプラントの手術後には、消炎鎮痛剤や感染予防のための抗生物質といった薬が処方されます。
鎮痛剤は痛みが落ち着いてきたら服用しなくてもよいでしょう。
しかし抗生物質は腫れや痛みに関係なく指示された期間は必ず服用してください。
もし処方された薬を服用しても症状が引かない等、異変を感じたら早めに歯科医院に相談しましょう。
飲酒は痛みや傷の腫れを大きくしてしまう可能性があるため、少なくとも手術後3日程度は控えます。
喫煙は傷の治りを悪くするほか、インプラントと骨がうまく結合しない原因にもなりかねないため、手術後は控えるようにしましょう。
喫煙に関しては、手術後でなくともインプラントを早く駄目にしてしまうリスクがあるため注意が必要です。
インプラントを長持ちさせたいと考えるのであれば、健康のためにも禁煙することをおすすめします。
手術後は運動や入浴を控えるのも大切です。
激しい運動・熱い湯船・長風呂は全身の血行がよくなります。
血流が増えると患部の腫れや痛み、出血につながるため、インプラントの手術後3日程度は控えるようにしましょう。
インプラント手術後の痛みや腫れを早く落ち着かせることができるよう、セルフケアでできる対策を紹介します。
腫れや痛みを感じたら、ぜひ試してみてください。
痛みや腫れを感じているときの患部は、強い炎症反応が起こっている状態です。
特に手術を終えた日は、痛みや腫れが強く出る傾向がありますので、できるだけ冷やすようにすると効果的です。
冷やすときに直接氷をあてるのは良くないため、冷たい水を含ませたタオルなどで冷やすようにします。
ただし、手術を受けた翌日以降は、よほど腫れや痛みが強く出ていない限りは冷やさない方が良いので注意してください。
冷やしすぎるとかえって傷の治りを遅くしてしまう可能性があります。
インプラントの手術後は、しばらくの間は硬いものを噛まないよう注意が必要です。
インプラントの手術では顎の骨に穴を開けるなどの負担をかけています。
そこで食事にはおかゆや豆腐、ヨーグルトなどの柔らかいものを選び、少しでも顎の負担を軽くすると良いでしょう。
腫れや痛みが落ち着いてきたら、少しずつ普段の食事へと戻していくようにします。
刺激物を食べないのも腫れや痛みの軽減につながります。
インプラントの手術後び刺激物を取ると治りが遅くなる可能性があるため、あまり良くありません。
しばらくの間は、香辛料などの刺激物・硬いもの・熱いものなどは避けることをおすすめします。
本記事では、インプラント治療の際に生じる痛みや腫れの原因や、対処法について解説してきました。
インプラントの治療で痛みや腫れを最小限に抑えるには、外科的なダメージを最小限に抑えることがポイントです。
歯科用CTなどの精密検査に基づいて骨の形・重要な血管・神経の位置を正確に把握して精密な外科処置を行うことで、歯茎や顎の骨に与えるダメージを少なくすることが可能になります。
技術レベルの高い歯科医師ほど、ムダのない動きで正確な外科処置を施すことが可能です。
外科的なダメージを極力抑えてインプラント治療を受けたいと考えるならば、経験豊富な歯科医師に施術してもらいましょう。
また、術中・術後の細菌感染予防の観点からも、インプラント手術は衛生的な環境で実施することが重要になってきます。
手術器具の消毒や滅菌処理が徹底されていることはもちろん、インプラント専用の手術室が完備されていると安心です。
口腔内の健康、歯の健康は身体全体の健康の入り口といっても過言ではありません。
痛みや腫れをできるだけ避け、後悔しないインプラント治療を受けるためにも、信頼できる歯科医師に施術をお願いしましょう。
監修:理事長/齋藤和重
2023/11/09
近頃は健康寿命が延びているため、趣味や娯楽など、老後の生活を楽しむ方々がたくさんいらっしゃいます。
元気な年配層が増えているとはいえ、やはり身体的な変化は否めないもので、歯もまた然りです。
年齢を重ねていくと虫歯や歯周病などのリスクが高まり、老後になるにつれて歯が抜けて失う機会も増えるでしょう。
歯が抜けた場合の治療法にはいくつかの方法があります。
この記事では、老後の生活においてインプラントを選択した場合のメリットやデメリットなどを解説しますので、ぜひご確認ください。
歯を失った際の治療法の選択肢には、主に「入れ歯」「ブリッジ」「インプラント」があります。
それぞれの治療法について解説します。
入れ歯は、数本の歯を失ったしまった部分に人工の歯を連結させて作成したものです。
部分入れ歯の場合は両端に金属を付け、健康な両隣の歯に金具を固定して装着します。
主に3本以上の歯を失った場合に適した治療法です。
すべての歯が無いケースでは、総入れ歯を装着します。
入れ歯は取り外しが可能なため、清掃しやすいのがメリットです。
ただし部分入れ歯の場合は、健康な両隣の歯に負担をかけることになるというデメリットがあります。
入れ歯はバリエーションが多く、さまざまな症状に合わせての製作が可能です。
保険適用の入れ歯を選択すれば、比較的安価に治療することもできます。
ブリッジとは、失った歯の両隣の歯を削って、「失った歯の部分の人工の歯と、支える両隣の歯に装着する被せものを連結させたもの」です。
失った歯が1、2本の場合に行われます。
ブリッジは取り外しができず、歯ぐきとの隙間に食べカスなどの汚れがつまりやすいので、虫歯や歯周病にならないようお手入れに注意が必要です。
また、削った両隣の歯には負担がかかるため、寿命が縮まってしまいます。
ブリッジを入れる部位によっては保険適用になるため、比較的治療費が安価です。
インプラントとは、歯を失った部分に人工の歯根を埋めて、その上に人工の歯の被せものを取り付ける治療法です。
ブリッジや入れ歯と比較すると、インプラントが一番本来の歯に近い構造だといえます。
また、失った歯の部分のみに施術を行うので両隣の歯にはほぼ負担がかかりません。
そこでインプラントはおすすめの治療法です。
入れ歯とインプラントの比較について、もう少しくわしく解説します。
寿命と保険適用の有無について見ていきましょう。
入れ歯の寿命はだいたい7年~8年です。
一方、インプラントは約10年~15年と長い傾向にあります。
ただし寿命はメンテナンス次第です。
どちらも歯の汚れを綺麗に取り除き、歯周病などのトラブルを予防する必要があります。
入れ歯は保険適用されますが、インプラントは保険適用外なので自費になります。
そのため比較するとインプラントの費用は入れ歯よりも高額です。
老後にインプラントを考える人も多いでしょう。
インプラント治療を検討し始めた際に知っておくと良いことについて解説します。
インプラントの治療を決断する前に、まずはインプラントの特性について知っておきましょう。
なぜなら、インプラントは治療をしたら終わりということではなく、メンテナンスが非常に重要だからです。
後悔しないためにも、治療期間や費用、入れ歯など他の治療法と比較した場合のメリット、デメリットともに把握した上で選択しましょう。
インプラント治療を安全に行うには、信頼できる歯科医院を選ぶのが大切です。
手術を行う前の段階で検査をしっかり行ってくれる歯科医院がよいでしょう。
インプラントは誰でも受けられる治療方法ではありません。
手術前の検査にてインプラント治療ができるかどうかを慎重に見極める必要があるのです。
歯科用CTは、レントゲン画像では分からない骨の状態や神経の状態まで把握できます。
歯科用CTを使ってしっかり調べてくれる歯科医院なら信頼できるでしょう。
老後にインプラントを選ぶにあたって、持病があるなら主治医に相談してみるのも大切です。
インプラント治療は外科手術になるため、持病がある場合は治療リスクが高まる可能性が考えらえます。
持病の種類によってはインプラント治療が受けられない場合もありますので、インプラント治療を始める前に主治医に相談してみてください。
また、インプラント治療を受ける場合、持病の主治医と歯科医とで連携が必要になる場合もあります。
インプラント治療を必要とされている高齢者の方も多くいらっしゃいます。
なぜなら歯が抜ける機会は、高齢になってからの方が多くなるからです。
老後にインプラント治療を選択するメリットを解説します。
老後にインプラントを選択すると、しっかり噛むことができるのがメリットです。
抜けた歯をそのままにしていると、嚙む力(咀嚼能力)が落ちてしまいます。
咀嚼能力が落ちてしまうと、消化が十分にできないので栄養が十分に摂れなくなったり、免疫力が落ちて疾患にかかりやすくなったりすることがわかっています。
特に最も失いやすい奥歯は、食物をすりつぶすのに欠かせない歯です。
インプラント治療で失った歯を補って咀嚼能力を回復させることは、身体の機能を維持することにもつながります。
認知症リスクを軽減できるのも、インプラントを選ぶメリットです。
老化によりリスクが高まるといわれている「認知症」ですが、厚生労働省の調査によると、咀嚼機能の低下と認知症の発症に関連性があることが分かっています。
その調査によると、歯が20本以上残っている人に比べて、それより少ない人は認知症になるリスクが1.9倍だと報告されているのです。
インプラントによって天然歯に近い形で失った歯を補うと咀嚼能力を改善できるため、認知症のリスクの軽減に影響を与えられると考えられます。
若々しい外見を保てるのもインプラントのメリットだと考えられます。
インプラント治療では、セラミック素材の人工歯を被せものとして装着することが多いです。
歯に合わせて色味を細かく調整することもできるので、見た目がとても自然に仕上がります。
歯がしっかり並んでいると、口元の膨らみや見た目が若々しくなるでしょう。
入れ歯であっても歯並びは作れると思われるかもしれません。
しかし金属を健康な歯に引っ掛けたり、樹脂の素材が目立ってしまったりする可能性があります。
自然で若々しい見た目にしたいのなら、インプラント治療の方が勝っているのでおすすめです。
健康な歯を傷つけずにすむのも、インプラントの大きなメリットです。
インプラント以外の失った歯を補う治療法では、健康な歯を削ったり、金具を引っ掛けたりする必要があります。
しかしインプラントなら健康な歯を犠牲にする必要がありません。
周りの健康な歯を傷つけることなく失った歯を補えます。
インプラントには会話がしやすいというメリットもあります。
歯を失うと話しづらくなり、話をうまく伝えられなくなることも増えるでしょう。
入れ歯を装着することで会話のしづらさは多少は改善されるはずです。
しかし話している最中にズレたり、外れたりといった心配があります。
また入れ歯は慣れるまで発話がしづらいのがデメリットです。
インプラントは天然の歯と同じようにアゴの骨に固定されるため、施術の後は歯が安定します。
話のしづらさから人間関係が希薄になってしまうことを防ぐ効果にも期待できるでしょう。
インプラント治療をすると、咀嚼の際に天然の歯と同じような刺激を与えることができるため、「骨吸収」を防ぐことができるのもメリットです。
歯を支える「歯槽骨」が溶けてしまうのが「骨吸収」です。
入れ歯やブリッジでは、失った歯があった部位に刺激を与えることができません。
そのため骨吸収されるといわれています。
しかしインプラントなら骨吸収の予防が可能です。
後悔しないよう慎重にインプラント治療を受けるか判断するためには、デメリットの把握も重要です。
メリットだけを見て決めないよう注意しましょう。
インプラント治療を選択する場合のデメリットについて解説します。
インプラント治療は、基本的に保険適用外の自由診療で費用がかかるのがデメリットです。
歯科医院によって費用が異なりますが、かかる費用はすべて自己負担で、1本あたり約30~50万円ほどが相場となっています。
また、インプラントの治療にはある程度の長い期間がかかるのもデメリットです。
埋め込んだインプラントが骨と結合するまで待たなくてはなりません。
個人差はあるものの、約3~6か月ほどの期間を要します。
保険診療で比較的安く短期間でく装着できる入れ歯とは、非常に対照的といえるでしょう。
インプラント治療を行うためには、人工の歯根をアゴの骨に埋め込むために外科的な処置を行う必要があるのもデメリットです。
入院は必要ありませんが、親不知の抜歯と同程度の身体的な負担があります。
身体的な負担は感覚的なもので個人差もあるでしょう。
しかし持病がある場合には服薬等の問題も合わさって、手術が難しくなることも考えられます。
手術以降もメンテナンスでの通院が必要になるので、定期的に通える体力がなければ、インプラント治療を選択するのは難しいかもしれません。
メンテナンスに手間がかかるのもインプラントのデメリットだといえるでしょう。
インプラントは、汚れをきれいに取り除いていないと「インプラント周辺炎」といった症状になりやすいです。
しかし、インプラント以外の治療法であっても、口腔内を清潔に保つための清掃は欠かせません。
たとえインプラントをしていなくてもメンテナンスや清掃を行わなければ、虫歯や歯周病になってしまいます。
インプラントは、骨の状態によっては受けられない場合があるため、誰でも受けられる治療法ではないのもデメリットです。
歯周病が進行し、歯茎だけにとどまらず骨にまで影響を与えてしまい、アゴの骨がどんどん痩せていったりするとインプラントを埋め込むことが難しいので治療が受けられません。
元々あった歯を支えきれないほどに骨が痩せてしまうなど、骨粗しょう症の方も治療できないと考えてください。
歯科医院によっては足りない骨を作る「骨造成」という手術を行ってくれる医院もありますが、どこの病院でも受けられる治療ではありません。
老後にインプラント治療を受けるにあたって、不安に感じる声が多いものについてお答えします。
ぜひ内容を確認して不安の解消に役立ててください。
寝たきりの状態になり通院ができなくなってしまうとインプラントのメンテナンスは難しくなります。
しかしインプラントのお手入れだけに留まらず、口腔内全般のお手入れがご自身では難しい状況になっているでしょう。
「お手入れ」で考えると「総入れ歯」が簡単にお手入れはできる方法になります。
とはいえ先のことを心配しすぎても解決にはなりません。
まずは寝たきりにならないように健康維持に努めていきましょう。
インプラントのお手入れが特別難しいように感じて不安になる方もいるかもしれません。
しかし、インプラントの治療を進めていく際に、歯科衛生士からブラッシング指導を受けてメンテンナンス方法を知ることができます。
インプラントのお手入れは特別難しいものではなく、実はご自身の歯のメンテナンスと大差はないので問題ないでしょう。
歯ブラシの正しいあて方や歯間ブラシの効果的な使い方などを教えてもらえれば、十分に口腔内をお手入れできるようになります。
年齢を重ねると残念ながら、歯を失う機会が出てくるでしょう。
60歳を過ぎると約80%の人が少なくとも1本以上の永久歯を失い、年々その数は増えていきます。
インプラントは天然の歯に近い形で失った歯を補うことができる治療法です。
本物の歯のようにしっかり噛むことができるので、インプラントは年々注目と人気を集めています。
しかし興味はあるけれどなかなか治療までは踏み込めないという方もいることでしょう。
人気があるのと、ご自身に合う治療法であるかは別になりますので、メリット・デメリットを理解した上で後悔のないように判断することが大切です。
まずは「かかりつけ医に相談」してみてはいかがでしょうか。
監修:理事長/齋藤和重
2023/11/09
インプラントの治療についてインターネットで調べてみて、価格に驚いてしまった方もいるのではないでしょうか。
この記事では「安いインプラント」について解説していきます。
安いインプラントはいくつかの点に注意が必要です。
一概に格安が危険という訳ではありません。
インプラントは医療器具なのでどうしても高額にはなりますが、多少は安く抑えることが可能です。
インプラントの費用を安くする条件や、格安のインプラントは安全なのかについても解説しているので、これから治療を受けようか検討している方はぜひ参考にしてみてください。
歯を失った場合の治療法の1つであるのがインプラントです。
インプラントという言葉は「体内に埋め込む医療器具・材料」を指します。
歯科領域では、あごの骨に埋め込む人工歯根をインプラント、正しくは「歯科インプラント」と呼びます。
もともとは入れ歯やブリッジが治療の主流でしたが、近年は第三の治療法としてインプラントを選ぶ人も増加中です。
インプラントではカウンセリング・検査・診断から始まり、人工歯根を埋入する手術、人工歯に当たる上部構造の製作までが一連の流れになります。
それぞれの工程でかかる費用の相場は下記になります。
インプラントは1本あたりにかかる費用が高額です。
その他にインプラント治療では手術後にも定期的にメンテナンスが必要になります。
メンテナンスでは、都度数千円程度かかります。
インプラントは高額ですから、何年くらい持つのか気になる人も多いでしょう。
見解は様々ではありますが、多くの歯科医師はメンテナンスをしっかりと行えば40~50年ほど持つと考えています。
高額な費用を払う必要がありますが、その後長く装着できるため、コスパとして考えると悪いものではないでしょう。
インプラントが高額となってしまうのには以下の理由が挙げられます。
詳しく解説していきます。
インプラントが高額なのは基本的に保険が適用されないからです。
自費診療なため、治療にかかった費用は10割負担となります。
これは国が定めた措置です。
今後、保険適用の治療となる可能性はありますが、現状は保険外診療となります。
原材料費もインプラントの価格に影響する要素の1つです。
インプラント治療に欠かせない人工歯根は、純度の高いチタンで作られています。
純度の高いインプラントは希少性が高い素材です。
優れた品質のインプラントを作るためには、材料費が高額になってしまうのは仕方のないことだといえるでしょう。
インプラント治療を安全に行うにはそれ相応の設備が必要となるのも、価格が高い理由です。
具体的には歯科用CT・衛生管理が徹底したオペ室・デジタルシミュレーションが可能なソフト・インプラントオペに必要となる専用器具などが該当します。
こうした設備を整えるには高額な費用が必要です。
そのため、安く治療を行うことは難しい状況下にあります。
インプラント治療は歯科医師であれば誰でも行うことができます。
治療費には技術料も含まれるものと認識しなくてはなりません。
熟練された腕を持つ歯科医師であるほど、治療の精度はあがり、質の高い治療を提供できます。
そのため技術が高いと技術料も上がるでしょう。
インプラントは本数が増えるにつれて2倍3倍…と費用がかさんでいきます。
失った歯の全てをインプラント治療をするとなった場合には、100万円以上かかることも多くなるのです。
事前に見積もりをとってから治療開始となります。
費用が心配なら本当に必要な部分だけをインプラントにするのも良いでしょう。
デンタルローンやクレジットカードも利用できますが、本数についてはよく考えてみてください。
インプラントは材料費が高額なこともあり、値引きが難しいものとされています。
そのため値引きをするのは難しいのですが、「結果的に安く抑える」ということは可能です。
ここでは費用を安く抑えるための条件について紹介していきます。
インプラントは下記の条件に該当すれば保険適用となることがあります。
保険適用できれば費用は抑えられます。
ただし虫歯や歯周病などでインプラントの治療を検討している方の場合は保険適用が難しいので注意しましょう。
インプラントでは「医療費控除」の適用が可能です。
医療費控除とは、一年間に支払った医療費が年間10万円を超えた場合にその年の税金(所得税や住民税)を軽減できる制度です。
そのため医療費控除を申告すれば実質的な患者様の支払い金額を軽減することができます。
結果的に費用を抑える方法の1つが、クレジットカードでの支払いです。
クレジットカードによっては支払いでポイントが得られます。
ポイント還元率の高いクレジットカードで支払えば、実質的な負担額の軽減につながるでしょう。
ただし、クレジットカード払いに対応していない歯科医院もあるので注意が必要です。
複数の歯科医院で見積もりをとると、費用を抑えられます。
1社の見積もりですぐに治療を決めず、複数の歯科医院で見積もりをとってみましょう。
インプラントは自費診療なため、保険治療とは違って歯科医院により金額が違います。
複数の歯科医院の金額や診療内容を充分に比較して、本当にコスパの良い歯科医院を見つけてみてください。
上記で保険が適用されるケースもあるとお伝えしましたが、注意点がいくつかあります。
ここではインプラントを保険で治療するケースについて詳しく解説していくので確認してみましょう。
保険が適用されるのは次の条件を満たす場合です。
保険適用は、先天性のもの、後天的なもの問わず自身の意思とは無関係に顎の骨を1/3以上を失ってしまった人が対象です。
上記の条件を満たしている場合に限り、自費診療から保険診療へと切り替わります。
仮に保険適用の規定をクリアしていたとしても色々な所で制限があります。
詳しくは下記の項目となるので確認してみましょう。
他にも条件はありますが、簡単に言えばクリニックでの治療は困難で、大きな総合病院などでの治療になります。
どの病院が条件に当てはまっているか分からない場合は、近くの歯科医院に問い合わせてみると良いでしょう。
インターネットでインプラントについて調べていると「格安」を押し出している歯科医院もあります。
「とにかく安ければいい」という考えで歯科医院を選んでしまうと後悔をしたり、うまく治療がされずやり直しをすることになったりする場合があるため注意が必要です。
そもそもインプラントは安くならないはずの治療法です。
それでも格安としている歯科医院で考えられる危険性について解説していきます。
現在国内で流通しているインプラントは、基本的に国の承認を得ています。
一定水準以上の品質が保証されているため、費用もそれなりに高くなってしまうのはやむを得ません。
一方で極端に安い格安インプラントの場合、海外で流通している品質の低い商品が使われる可能性があります。
国の承認を得ていないインプラントは、大きな欠陥がある可能性も考えられますので注意が必要です。
極端な格安インプラントを行っている歯科医院は、医師の実績や経験が未熟な可能性が考えられます。
歯科医師になってまもない場合や、インプラントの経験値が低い場合は、適切な診療結果を得られないこともあるでしょう。
他院でやり直しをすることになってしまっては二重で費用がかかります。
結果的に割高となってしまうため注意しましょう。
マイナーなインプラントシステムを採用していて、治療後のトラブルが多い歯科医院は、患者を多く集めるために格安でインプラントを提供しているケースがあります。
歯は一度治療してしまうと完全な元通りにはなりません。
トラブルの多い歯科医院は避ける方が安全でしょう。
費用が高額なインプラント治療でのトラブルや後悔は避けたいですよね。
トラブルや後悔を避けるためには、信頼できる歯科医院で治療を行うのが一番です。
ここでは信頼できる歯科医院の選び方について解説していきます。
インプラント治療では、検査や診断を入念に行ってくれる歯科医院を選びましょう。
検査をするにあたっては、相応の設備も必要になってきます。
設備が整っている歯科医院を選ぶのもポイントです。
歯科治療では、自歯の歯を残せるのであれば、なるべく残した方が良いです。
インプラントは自歯と比べると土台も弱く、歯茎にもダメージを受けます。
最大限歯を残そうとしてくれる歯科医院の方が、信頼できると言えるでしょう。
インプラント以外の治療法も説明してくれる歯科医院は、信頼できると言えるでしょう。
自費診療であるインプラントは、患者の負担額が大きくなります。
もちろんインプラントが最良の診療の場合もあるでしょう。
しかし他の治療と比較検討して選択する方が後悔のない選択ができます。
インプラント以外の治療方法についても問い合わせてみてください。
インプラントのデメリットについても教えてくれる歯医者を選ぶのがおすすめです。
デメリットを把握してから治療をした方が後悔しません。
メリット・デメリットどちらも踏まえた上で、治療方針を歯科医師と共に相談しながら決めると良いです。
積極的にデメリットも教えてくれる歯科医師は信頼できるでしょう。
インプラントの治療を受けるなら、経験豊富な意思を選ぶのも大切です。
設備がいくら最先端で豊富だったとしても一番重要なのは歯科医師の技術力になります。
インプラント手術の経験や実績についてできる限り豊富な歯科医院だと、慣れている分安心できますよね。
そこでインプラントの経験値についても聞いてみる事をおすすめします。
アフターフォローも歯科医院選びでのポイントです。
インプラントは手術が終われば完了ではありません。
健康な歯と同様に、定期的に異変がおきていないかのチェックやメンテナンスが必要です。
メンテナンスをきちんと行うことで40年、50年と長持ちをさせることができます。
アフターフォローがどの程度しっかりしているのかについて、初回の問診時などに問い合わせてみると良いでしょう。
インプラントは、安く抑えるのが難しい高額な治療です。
それでも見た目の自然さや長持ちできる点から、インプラント治療を行いたい人は多いでしょう。
後悔しない治療をするためには、カウンセリング時の入念さが大切になってきます。
私共の歯科医師も、安心して治療ができるように検査・説明を最大限行っていますが、それでも患者様からすると疑問が残ってしまうこともあるかもしれません。
そこで患者様が気になる事などを事前にリスト化してからカウンセリングに来て頂けると、より納得頂いた上で判断できるでしょう。
監修:理事長/齋藤和重
2023/11/09
歯を失った場合の治療法として、従来までは入れ歯が主流でした。
しかし、近年ではインプラント治療の人気が高まっています。
では、入れ歯治療を受けた後にインプラントへの変更は可能なのでしょうか。
この記事では、入れ歯からインプラントに変えるメリットや方法、注意点について解説します。
入れ歯とインプラントそれぞれのメリット・デメリットも紹介しますので、この記事を読んでご自身にあった治療法を検討してみてください。
自分の歯をいつまでも使い続けたいですよね。
しかし怪我や病気、事故などで天然歯を失う場合があります。
このような場合、歯を失った部分を補う方法として考えられる治療法は以下の3つです。 ・入れ歯 ・ブリッジ ・インプラント それぞれの特徴やメリット・デメリットについて説明していきます。
入れ歯は、歯がなくなった所の歯と歯茎の形を作り補う、取り外しが出来る装置です。
入れ歯には、次の2種類があります。
・部分入れ歯……一部の失った部分を補う入れ歯
・総入れ歯……すべての歯を失った場合に使用する入れ歯それぞれ説明していきます。
部分入れ歯とは、歯を失った部分のみに入れる入れ歯です。
残っている歯に金属のバネをかけて、入れ歯を維持安定させます。
歯が1本だけ欠損した場合から1本しか残っていない場合まで幅広く対応しているのが特徴です。
バネをかける歯を削るだけで済みますが、総入れ歯に比べて安定性が劣ったり金属部分が目立ったりするというデメリットもあります。
総入れ歯は、上下どちらかの顎で歯が全くない場合に使われる入れ歯です。
残っている歯が入れ歯を支える「部分入れ歯」に対し、「総入れ歯」は歯茎の上に乗せて支える構造をしています。
総入れ歯は歯茎の部分が分厚くなるため、違和感を感じやすいのが特徴です。
入れ歯には、以下のようなメリットがあります。
・治療費用が安く済む ・治療期間が比較的短い ・取り外しができるため掃除しやすい ・外科手術が必要ないため身体への負担が少ない ・取り外しができるためトラブルが起きても対処しやすい 基本的に入れ歯は保険適用となるため、他の治療法と比べて費用が安く済むでしょう。また、インプラントのように外科手術が必要なく、ブリッジのように他の健康な歯を削らずに治療ができるため、身体への負担が少ないというのもメリットです。
入れ歯には、以下のようなデメリットがあります。
・痛みや違和感を感じやすい ・審美性に欠ける ・入れ歯の調整が必要である ・食べ物をしっかり噛めない場合がある ・入れ歯がずれたり外れたりする ・食べ物・飲み物の熱さや冷たさを感じやすい ・金具を使う場合、他の歯を傷つける恐れがある 保険診療で入れ歯を作る場合、インプラントに比べると審美性が劣ってしまいます。また、インプラント・ブリッジよりも噛む力が劣り、外れてしまいやすいのもデメリットです。
ブリッジは、歯を失った部分の両隣の歯を削り、それを土台にして一体型の上部構造を装着する治療法です。
歯と歯の間に橋を渡すようにして取り付けていることから「ブリッジ」と名付けられています。
歯を削るだけなので外科手術をせずに治療ができ、保険適用も可能です。
ブリッジの主なメリットは以下の通りです。入れ歯同様、ブリッジは治療を行っている歯科医院が多く、失った歯の両隣に歯がある場合は取り入れやすい方法です。
・治療費用が安く済む ・治療期間が比較的短い ・入れ歯よりもしっかりものを噛める ・違和感が少ない ・取り外さなくて良いまた、入れ歯よりも異物感が少なく、ものをしっかり噛めるでしょう。
ブリッジのデメリットもおさえておきましょう。歯を失った部分の両隣の歯を少し削って土台にするため、健康な歯の寿命を縮めることになります。
・他の健康な歯を削らなければならない ・歯を全部失っている場合など適応できないケースがある ・天然歯と上部構造との間に汚れが挟まりやすい ・不具合が起きた場合入れ歯よりも修理が難しい ブリッジは、また、入れ歯と比べて適応できる範囲が限られるので注意が必要です。
インプラント治療は、歯を失った場所にインプラント体を埋め込み、人工歯(上部構造)を装着する治療法です。
他の治療法に比べ、インプラント治療は見た目も良くなりしっかり噛めるようになります。
歯があった時と同じ状態に回復できるのがインプラント治療の特徴です。
ただし基本的には保険が適用されず、自由診療となります。
インプラント治療は以下のようなメリットがあります。
・審美性に優れている ・違和感や異物感を感じない ・噛む力が本当の歯と同じくらいまで回復する ・他の健康な歯に負担をかけない ・骨が痩せるのを防ぐ インプラント治療は機能面・審美面においても入れ歯やブリッジよりも優れているため、近年人気の治療法です。
多くのメリットがあるインプラント治療ですが、以下のようなデメリットもあります。
・治療費用が高くなる ・治療期間が長くなる ・外科手術が必要である ・定期的なメンテナンスが必要である ・全身の健康状態が悪い場合、治療できないことがある ・骨の量が足りないときなど適応できない場合があるインプラント治療は自由診療となるため、治療費が高額になります。
また、外科手術が必要であるため、身体への負担がかかるのも理解しておきましょう。
入れ歯治療を受けた後にインプラント治療への変更はできるのでしょうか。
結論から言うと入れ歯からインプラントへの変更は可能です。
入れ歯に負担がある場合、インプラントに移行すると様々なメリットが得られます。
詳しく説明しますのでご確認ください。
入れ歯をつけていると、しっかりと噛めなかったり、発音がしっかりできなかったりと不満を抱える人は少なくありません。
しかしインプラント治療でインプラント体を埋めると、しっかりと固定されます。
入れ歯を装着していたときの不快感や不便さがないため、快適な生活に期待できるでしょう。
入れ歯の場合、金具が見えてしまったり、外れてしまったりと不自然な口元になってしまうことがあります。
しかしインプラントは見た目も自分の本当の歯のような仕上がりです。
機能面でなく審美面においても優れているため、より自然な口元を目指せるでしょう。
インプラントは歯や身体の健康を維持できるのも大きなメリットです。
入れ歯で食べ物をしっかり噛めないと、胃や腸に負担がかかってしまいます。
しかしインプラントでしっかり噛めるようになると、消化しやすい状態にして胃や腸へ食べ物を運べるようになるのです。
また、ストレスもなくなり、全身の健康維持に繋がるでしょう。
部分入れ歯の場合、他の歯にフックをかけて固定するため、隣の歯の歯茎に擦れて炎症を起こしてしまう危険性があります。
ですが、インプラントは、他の歯に固定したりひっかけたりしません。
器具が他の歯や歯茎と擦れてしまう危険性がなく、安心して使えます。
具体的にどのようにインプラントに移行すれば良いのでしょうか。
入れ歯は、部分入れ歯と総入れ歯の場合とで治療方法が変わりますので、それぞれ詳しく説明していきます。
現在入れ歯を装着していて、インプラントへの移行を考えている方はチェックしてみてください。
部分入れ歯からインプラントに移行する場合、検査・診断により特に問題がなければ通常のインプラントと同じ治療法で行います。
部分入れ歯は、残っている健康な歯に力を分散して安定させています。
それらの歯に負担がかかっている場合、インプラント治療前に抜歯が必要になるケースもあるでしょう。
総入れ歯からインプラントへ移行する場合、多くのインプラントを埋め込む必要があります。
そのため以下について考えなくてはなりません。
・治療期間が長くなる
・費用が高くなる ・身体への負担が大きくなる 通常のインプラントの他に、「オールオン4」という最新のインプラント治療も選択できます。
オールオン4は、最少で4本のインプラントによって全ての歯を支える治療法です。
一般的なインプラント治療では、1本のインプラント体を顎の骨に埋め込みんでアバットメントを装着し、そこに上部構造を装着して固定します。
しかしオールオン4では最少4本のインプラント体を埋め込み、そこに一つの入れ歯のようになっている歯茎がついた上部構造を装着する仕組みです。
少ないインプラント体で対応できるので、身体にかかる負担を減らせるでしょう。
入れ歯からインプラントに変更するのは可能で、メリットも多いです。
しかし、いくつか気をつけなければならない点があります。
詳しく説明しますので、しっかり理解したうえで検討しましょう。
インプラントへの変更では骨造成が必要にある場合があるので注意が必要です。
入れ歯にしてから日数が経っていたり、調整していなかったりすると、顎の骨が痩せてしまっている可能性があります。
その場合に行われるのが、骨造成と呼ばれる骨を増やす手術です。
検査や診断を受けてから治療を進めていくことになるでしょう。
保険が適用される入れ歯治療に対し、自由診療となるインプラント治療の費用は高額になります。
インプラント1本あたりの相場費用は30〜50万円程度です。
ただし、インプラントは他の治療法と比べて寿命が長く、しっかりメンテナンスを行えば半永久的に使えます。
メリットも多く、長く見ればコストパフォーマンスに優れていると言えるでしょう。
インプラントは治療法によっても変わりますが、治療期間が長い傾向にあるので注意してください。
入れ歯やブリッジは比較的短期間で治療が終わります。
しかしインプラント体と骨がしっかり結合するまで3ヶ月程度かかり、外科手術の後も回復するのを待たなければなりません。
治療完了まで3ヶ月〜1年程度かかると理解したうえで治療計画を立てましょう。
インプラント埋入するには、麻酔をともなった手術が必要です。
そのため、身体への負担が少なからずあります。
治療するにあたっては、インプラント治療に精通した信頼できる歯科医院を選ばなければなりません。
入れ歯からインプラントへの変更は簡単に行えるわけではありません。 ・骨の状態 ・周囲の歯の状態 ・噛み合わせ 上記について良く調べたうえで実施する必要があります。
また、インプラント治療は手術が必要です。
全身状態が悪いときや、インプラント埋入部位の顎の骨が丈夫でないときなどは、治療を受けられないケースもあるので注意しましょう。
インプラントは入れ歯と比べても不快感がなく、ものをしっかり噛めるなどメリットが多い方法です。
しかし、インプラント周囲炎になりやすいというデメリットがあります。
自覚症状がほとんどないため、気づいたときには進行してしまい、せっかく埋入したインプラントを除去しなければならないケースもあるので注意が必要です。
インプラント周囲炎にならないためには、日々のブラッシングだけでなく、歯科医院で定期的なメンテナンスを受けましょう。
本記事では、入れ歯からインプラントに変えるメリットや方法、注意点について解説しました。
インプラントは機能性と審美性の両方に優れている治療法です。
入れ歯をしていて不満が多かった人は、インプラントに移行することで解消できるかもしれません。
〇インプラントへ移行するメリット
・しっかりと固定される
・自然な口元に仕上げられる
・歯や身体の健康を維持できる
・他の歯への負担が少ない
入れ歯からインプラントに移行する場合は注意点もあるため、この記事を参考にしつつ、しっかり検査・診断を受けて治療に臨みましょう。
監修:理事長/齋藤和重
2023/11/09
失った歯の代わりとなり、ものを噛んだり見た目を良くしたりできるのがインプラントです。
しかしインプラントには寿命があります。
インプラントのお手入れ方法が適切でなければ、寿命が短くなってしまうのです。
この記事ではインプラントのメンテナンス方法について解説します。
また、インプラントをメンテナンスしなかった場合にどのようなトラブルが起こるのかについてもまとめました。
インプラントの寿命を少しでも延ばしたいのであれば、この記事を参考に適切なメンテナンスを行なってください。
失った歯の代わりとなるインプラントですが、埋め込んだら永久に使えるというわけではありません。
インプラントの寿命は埋め込んだ場所や口腔内の状態によっても異なります。
寿命としては、10〜15年程度が平均です。
しかしインプラントの10年後の残存率は9割を超えると言われています。
入れ歯やブリッジと比較すると、インプラントの寿命は長めです。
インプラントの寿命は10~15年といっても、あくまでも平均です。
お手入れの仕方によって、10年も持たずに寿命を迎える場合もあれば、20年以上使い続けられる場合もあります。
つまりインプラントの寿命を長く延ばせるかは、ケア次第で大きく変わってくるのです。
お手入れが十分でない場合は様々なトラブルを引き起こし、インプラントの寿命が短くなるでしょう。
では、インプラント治療後にしっかりお手入れしなかった場合、どのようなトラブルを引き起こしてしまうのでしょうか。
ケアが十分でなかった場合に起こり得るリスクについて説明します。
手入れが不十分だったときに起こるのが「インプラント周囲粘膜炎」です。
インプラント周囲粘膜炎とは、インプラント周囲の粘膜のみに炎症が起こる症状で、天然歯で言う歯肉炎や歯周炎のような状態になります。
インプラントの周りに歯垢が溜まると引き起こされ、歯茎が腫れたり出血したりする場合がありますので注意しましょう。
インプラント周囲粘膜炎が悪化し、インプラント周囲の粘膜から歯槽骨にまで広がった状態が「インプラント周囲炎」です。
歯周病と似たような症状で、歯茎から出血したり、膿が出たりする場合があります。
インプラント治療後は、このインプラント周囲炎になるリスクが高いので注意が必要です。
重篤なケースだと歯茎が痩せてしまい、インプラントが脱落する可能性があります。
インプラント周囲炎は自覚症状がほとんどなく、気付かないうちに進行して完治するのが難しくなるのが特徴です。
インプラントのお手入れを怠ると、他の健康な歯にまで危険が及び寿命が縮むので注意しましょう。
もし、インプラントに汚れが溜まれば、隣接する天然歯が虫歯や歯周病になってしまう可能性があるのです。
インプラント自体は虫歯にはならないため油断しがちですが、周囲の歯は虫歯になるということを忘れてはいけません。
お手入れを怠ると、保証が受けられなくなるのも注意点です。
インプラント治療には、一般的に保証期間が設けられています。
埋入後に不具合があった場合は、保証期間内であれば無料で対応してもらえるのです。
しかし、不具合の原因がメンテナンス不足にあった場合は保証に対応していないケースが多く、その場合のインプラントの交換は自由診療のため高額になるでしょう。
治療後に不具合があった場合に保証をしっかりと受けられるようにするためにも、インプラントのお手入れは欠かせません。
治療後にできるだけインプラントを長持ちさせたいのであれば、自宅でのお手入れをしっかり行う必要があります。
では、具体的にどのような方法でお手入れすれば良いのでしょうか。
インプラントの寿命を延ばすためのセルフケアの方法について詳しく説明します。
歯ブラシを使った日々の歯磨きは、インプラントを守るために必要不可欠です。
表面だけではなく、歯茎との境目なども隅々まで丁寧に歯磨きをして、歯垢が残らないようにしましょう。
歯ブラシの硬さは様々ありますが、「かため」の歯ブラシで磨くと、インプラントを傷つけてしまう恐れがあります。
歯ブラシの硬さは歯茎に問題がなければ「ふつう」を選び、痛みや炎症がある場合は「やわらかめ」を選ぶのがおすすめです。
歯磨きをする際は歯磨き粉を使うのが一般的です。
しかし研磨剤入りの歯磨き粉は汚れを除去する効果が高いものの、インプラントを傷つける恐れがあります。
そのため、低研磨、もしくは研磨剤無配合の歯磨き粉を選ぶと良いでしょう。
迷った場合は担当の歯科医師に相談するようにしてください。
歯間ブラシというのは、歯間や歯と歯肉の間の汚れを清掃する道具です。
先端がブラシ状になっており、インプラントと隣接する歯との間の汚れを効率良く取り除きます。
また歯間清掃の他にも歯肉の状態をチェックするという役割もあるのです。
歯間ブラシによって出血の有無が確認でき、インプラント周囲炎の早期発見・早期治療が期待できます。
デンタルフロスは、細い繊維を束ねて糸状にしたもので、歯間ブラシと同様に歯間や歯と歯肉の間の汚れを清掃する道具です。
フロスの糸を歯と歯の間に通し、優しく前後に動かして汚れを取り除きます。
・隙間が広い部分・・・歯間ブラシ
・隙間が狭い部分・・・デンタルフロス上記のように使い分けるのがベストです。
マウスウォッシュは、「うがい薬」「洗口液」などとも呼ばれる、口腔内の細菌を殺菌する液体です。
歯磨きなどのセルフケアを行った後、マウスウォッシュを口に含んですすぎます。
歯磨きやフロスでは十分に落としきれない汚れは、マウスウォッシュで落としましょう。
インプラント周囲炎のリスクを下げることが可能です。
インプラント後のお手入れでは、歯科医院で定期的なメンテナンスを受けることも重要です。
では、歯科医院では具体的にどのような処置が受けられるのでしょうか。
ここでは、歯科医院で行うメンテナンス方法を詳しく紹介していきます。
歯科医院でのメンテナンスでは、はじめに口腔内の状態を目視で確認します。
チェックするのは主に以下の項目です。
・上部構造とインプラント体に不具合・破損などはないか ・プラントはぐらつかないか ・歯茎に炎症はないか ・歯周ポケットの深さは適正か ・噛み合わせに問題はないか ・歯垢や歯石はないか 早期発見・早期治療ができれば、インプラントの重大なトラブルも回避できます。目視で確認できない部分については、レントゲン検査を行って確認する場合もあります。
レントゲン検査で確認できるのが次の項目です。
・歯槽骨に炎症がないか ・骨吸収の状態はどうか さらにインプラント周囲の歯に虫歯がないかなど、インプラント以外の歯の状態も確認します。もし、上顎の奥歯にインプラントを埋め込んだ場合は上顎洞炎を引き起こすリスクもあるため、レントゲンで詳しく確認する場合もあるでしょう。
歯科医院ではブラッシング指導も行われます。
日々の丁寧なブラッシングによってインプラントを長く使えるようになるからです。
人にはそれぞれ歯磨きの癖があります。
そのため磨ききれない箇所がある場合が多いのです。
歯科医院では磨き残しが多い部分をチェックでき、正しい磨き方や清掃器具について指導してもらえます。
セルフでの適切なケアができるようになると口腔内を清潔に保てるため、インプラントの寿命も延びるでしょう。
歯科医院では、PMTCが行われます。
PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)とは、歯科専門家による専用の機械使った歯のクリーニングのことです。
歯ブラシでは届きにくい部分の汚れや歯垢、着色汚れなどを取り除けます。
歯垢は歯ブラシでも取り除けますが、歯垢が石のように固まった「歯石」となると、自力で取り除くのが難しくなるのです。
歯科医院ではPMTCによって歯石を除去する処置をしてもらえるので、健康な口腔内を目指せます。
メンテナンスを徹底すれば、トラブルを起こすリスクを回避できるでしょう。
しかしインプラントや周囲の歯を守るには、メンテナンス以外にも注意しなければならないことがあるのです。
詳しく説明しますので、インプラント治療を行った方や検討している方は、ぜひご確認ください。
メンテナンス以外にも、インプラントでは嚙み合わせの改善が必要です。
噛み合わせが悪ければ、一部の歯に負担がかかり、寿命を縮めてしまいます。
嚙み合わせの改善にはマウスピースを装着するなど、様々な対策が考えられるでしょう。
歯科医院にて相談し、適切に対処してください。
インプラントでは喫煙や節煙も必要になります。
喫煙には様々な健康被害が報告されていますが、インプラント治療に関しても同様です。
タバコを吸う習慣がある場合、インプラント施術部位に以下のような悪影響を及ぼすリスクがあります。
・術中・術後の感染症リスクが高まる ・インプラントが骨と結合しにくくなる ・インプラント周囲炎や歯周病のリスクが高まる 喫煙はインプラントの寿命を縮める大きな原因になります。インプラントを守るためにも、禁煙や喫煙回数を減らすなどの対策を考えましょう。
歯ぎしりや食いしばりは、インプラントや天然歯に大きな負担がかかる危険な癖です。
天然の歯には、歯と歯槽骨の間に歯根膜という薄い膜があります。
これにより、クッション効果で噛んだ時にかかる力を吸収・分散させているのです。
しかしインプラントには歯根膜がないため、直接負担がかかり、結果的に寿命を縮めてしまう可能性が高まります。
歯ぎしりや食いしばりの癖がある場合はナイトガードを活用するなどの対策が必要となるでしょう。
インプラント治療後はバランスの良い食事を取るのも大切です。
歯と身体の健康を良くし、免疫力を高めましょう。
結果的に、インプラントを長持ちさせることにもつながります。
バランスの良い食事を心がけ、健康的な生活習慣を送ってください。
インプラントの寿命を長くするためにも、違和感があったらすぐに歯科医院を受診しましょう。
寿命を縮める原因となるインプラント周囲炎は、自覚症状がほとんどないのが特徴です。
気づかないうちに症状が悪化して取り返しがつかなくなる場合があります。
早期発見・早期治療によって、インプラントの寿命は長くなる可能性が高いでしょう。
口腔内に違和感があったら、定期検診の時期でなくても歯科医院を受診してチェックしてもらってください。
インプラント治療では、信頼できる歯科医院を選ぶのも大切です。 ・埋入したインプラントがうまく結合しない ・インプラントが適切な位置に埋入されない 上記のような失敗や不具合は、インプラントの寿命を縮める可能性があります。
インプラント治療は、虫歯や歯周病治療などに比べると専門性が高い治療です。
失敗や不具合を防ぐためには、信頼できる歯科医院を選びましょう。
数ある歯科医院の中からどのような点に気を付けて歯科医院を選んだらよいのでしょうか。
歯科医院を選ぶ際は、以下のポイントに注目してみましょう。
・カウンセリングが丁寧か ・事前説明が徹底しているか ・インプラント治療のメリットだけでなくデメリットも説明してくれるか ・インプラント治療の実績が豊富か ・設備が整っているか ・口腔内の治療に精通しているか 実際に治療を受けた人の口コミを参考にしたり、カウンセリングを受けて確かめたりするのがおすすめです。
本記事ではインプラントのメンテナンス方法について解説しました。
口腔内を清潔に保たなければ、インプラント周囲炎などによってインプラントの寿命が縮まります。
それだけではなく、他の健康な歯の寿命が縮まったりするリスクも高まるのです。
インプラントのお手入れ方法には、セルフケアと歯科医院での定期的なメンテナンスがあります。
どちらも適切に行えば、インプラントをより長く使うことができるでしょう。
この記事を参考にしつつ、しっかりメンテナンスを行ってください。
監修:理事長/齋藤和重